いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 


  1.腰痛で気付いた人のやさしさ              井上 道代

  私は528日変形性腰椎症になり、整形外科医院に通っております。それから3か月リハビリと毎日の歩行でだいぶよくなってきました。
  趣味の絵を描き、6月には本郷台駐輪場に、7月には地球プラザ・リリスに出展致しました。729日の夕方、搬出した作品2点を大きな手さげに入れ、キャリアケ-スの取手に引っ掛けて本郷台から電車に乗り座席に座っておりました。横浜駅に近くなり、降りるために立ち上がった時、腰に痛みが走りました。よろけるように手すりにしがみつき、自分で降りようとすると、六十歳台位の男性が、「持ってあげます。」と言って、キャリアケ-スごと荷物を降ろしてくれました。乗客が乗られるとご自分も電車に乗られましたので、わざわざ私の為に立って荷物を降ろして下さったのです。「ありがとうございました。」と心からお礼を申し上げました。日本人の優しさに心が和み、腰の痛さは消えていました。
 84日うちの近くの反町公園で盆踊りがありました。「町内会長さんから、踊り好きな井上さんを誘ってあげてと言われました。井上さん腰が痛かったら、うちのマンションの前から、みんなでタクシーに乗る約束をしていますよ。」とのKさんからの優しい言葉に感激しました。
 30年前、夫の母親が庭で転んで大腿骨にひびが入り、共済病院に入院していました。治りかけた頃、私は毎日仕事帰りに病院に寄り、看護師さんの指示に従って、母の歩行練習に付き合った事を思い出します。義母は、夫や夫の妹に「道代さんに虐待されている。」とふざけて言っていたそうですが、努力が実って歩けるようになり喜ばれました。


  2.ツナ缶スパゲティ                    いでたろう

 材料二人分 ツナ缶詰1、スパゲティ400グラム、キャベツ200グラム、アンチョビー3枚、ニンニク1かけ、赤唐辛子1本、オリーブ油大匙1、塩少々
 1.たっぷりの湯に塩大匙1を加え、スパゲティと一口大に切ったキャベツを茹でる。ゆで汁は少し残しておく。
 2.アンチョビーは細かく刻み、ニンニクは薄切り、赤唐辛子はヘタ、種を取り輪切りにする。
 3.鍋にオリーブ油を熱し、ニンニク、赤唐辛子を炒め、アンチョビーを入れ、次にミャベツ、ツナを入れ塩で味を調える。
 4.ここに茹で上げたスパゲティを加え、ゆで汁を少し入れ、あえて出来上がり。


  3.思いつくままの走り書き ―同好の視障者―       中村 斉

  はじめに拙作を一首。
モネ描く睡蓮観たきと思いきに 猛暑に負けて一日延ばし
 みなと未来の美術館では、モネの「睡蓮とモネの作品に影響を受けた画家の作品」を展示しているのだが、わたしは、「室温は28℃以下に保とう」という熱中症予防キャンペーンの言葉に従い一日中エアコンをまわし、ごろごろと過ごしてしまった。
 前例の無い動きの台風に気を揉んで 迎えた89日(木)当日は源実朝の誕生日ということで、鶴岡八幡宮では実朝祭り短歌会が開催されることになっていた。私は、柳の下の二匹目のどじょう、を狙うつもりかといわれるのをきらって 私用の理由でデイケアを欠席し短歌会にむかった。雨も風も心配しない天候で源平池の蓮の花が美しく咲いているという状況であった。さて、少し落ち着いて会場を見回した妻が、「今日は白杖を持った方がいらっしゃる」とおしえてくれた。この方の作品もお名前も当日の作品集に掲載されているのだが、許可をいただかなかったので、ここにご紹介するのはひかえます。私より大分お若い女性のかただった。彼女の作品を評してくださった選者は「目を患いながらもあの有名な睡蓮、を描いたモネの業績とその作品に感動した作者の心が良く描けていて良い作品だ」と評された。
  私の詠草は 二匹目のどじょうは狙わなかったものの密かな受け狙いの魂胆が選者によまれたようで、大変な酷評だった。負け惜しみをいうのではないが、気分が洗われて、新しい気持ちで作歌に取り組む心構えになれたように思う。それにしても、絵画の鑑賞と短歌という同好の視覚障害者に出会えたのはうれしかった。次の機会には声をお掛けしてひととき談笑したいものと胸をときめかせている。
 最後に酷評をいただいた一首をしるす。
鎌倉や昔と今の今出合う 流鏑馬神事スマホのショット


  4.編集後記                      菊地 賢三

 自動車ナンバー自動読取装置は既に1987年に実用化されている。同じように犯罪予防等が目的であるが、顔認識技術もとっくに実用化され、プライバシー保護の大きな問題をはらみつつ精度向上技術が著しい。文字の音声化技術も大いに進み、パソコンなどのデジタル文字は100%音声化可能のであり、手書文字や古文書も認識、音声化が進んでいる。ICタグ等を利用した、歩道部、階段部、昇降装置等の施設側からの発信やデジタルカメラによる道案内システムも進んでいる。画像読み取り付きの眼鏡型音声化装置の試作品や、ロボット盲導犬も2020年には屋外実験開始との話もあるが、待ち遠しい。


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