いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

  1.まつりと思い出                   藤原 正勝 

 私の故郷は米と日本酒そして東北三大祭りの一つ、竿灯で知られる秋田です。いささか前の話になりますが、平成28年12月1日に、私が18歳まで過ごした町で毎年夏に行われている伝統行事の「土崎神明社まつりの曳山行事」(地元では港曳山まつりと呼んでいます)が、「山・鉾・屋台行事」日本の祭33件の祭礼の一つとして、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。このニュースを知った時は懐かしい風景と心躍らせて真っ直ぐだった少年時代に一瞬で戻ってしまいました。
 まつりの主役は曳山ですが、曳山は山車の上に武者人形が勇ましい姿で仁王立ちをしていて、みんなで一緒に「ジョヤサー」と掛け声を合わせて山車を引っ張るのです。山車は各町内より一台ごと出発し、またそれぞれ町内ごとで揃いの浴衣を着ているので、この浴衣の柄も楽しみの一つでした。このまつりの中で私が惹かれるのは港ばやしでした。港ばやしはリズミカルな寄せ太鼓、スローテンポの港ばやし、そして秋田音頭の踊りや民謡。演奏は太鼓、笛、摺り鉦、三味線です。お囃子は音色の中にもどこか雪国の寒さに耐えた力強さを感じさせてくれ、民謡と調和されて哀愁を帯びてまつりをより一層盛り上げてくれます。
 まつり当日ともなると、親から貰ったまつり用の特別な小遣いをポケットに入れて友達と待ち合わせをして、はやる気持ちを抑え頭の中は既にお菓子、ゲームなど、何を買おうかと出店へと急いだものでした。夜になると出店の裸電球の明かりが夜景を演出し、山車に飾られている提灯も揺られて幻想的な闇の世界に包まれているようでした。まつりはいつも学校の夏休み前のテストの時と重なり進級するにつれ、まつりの練習で聞こえてくる太鼓や笛の音で気もそぞろになった事が、ついこの前のように思い出されました。
 田舎で過ごした時間よりも上京して横浜での生活の方が永くなりましたけれどまつりは年齢を重ねても、心に残る思い出です。きっと体の中を港曳山まつりのお囃子と掛け声が流れて居るからだと思います。


  2.豚シャブ冷やし中華                 いでたろう

  材料二人分
  中華たれ(醤油大さじ2、米酢大さじ1、黒酢大さじ2、砂糖大さじ2、鶏がらスープ50cc、刻みしょうが小さじ1、すりゴマ小さじ1、からし少々)、豚シャブ肉150グラム、豚煮込み用(醤油、みりん、酒、砂糖、おのおの適量)、野菜(しそ、みょうが、小ねぎ、きゅうり、かいわれ等)中華麺2袋、ごま油少々。
  1)中華たれ材料を全て合わせて混ぜ、冷やしておく。
  2)豚肉を煮込み用材料で甘辛く煮て、冷やしておく。
  3)野菜は、食べやすい大きさにスライスする。
  4)中華麺を規定どおり煮て、水で洗い、氷水に1分間浸け、ごま油を少量かけ混ぜる。  5)皿に麺を盛り、ゆで豚肉、野菜を盛り付け、たれをかけて出来上がり。


  3.思いつくままの走り書き  -短歌-          中村 斉                       

 私が昨年11月から短歌の結社に入り、短歌の修行を始めたことは本紙5月号に記した。現在は毎月会誌に7首の詠草を提出し、その中から5首程度を会誌に掲載して頂くほか、毎月の歌会に1首を提出して、歌会の席上参加の方々や主宰者にご批評をいただいている。つまり最低月10首、3日に1首は作歌することになる。なかなかにきびしい修行だ。でもこれまで毎月の提出も歌会に参加することも欠かしたことはない。もしかしたら短歌という定型詩は文芸に親しもうとする視覚障害者にとって適当なジャンルかもしれないとおもっている。
 折しも、日盲連図書館便りに「全国盲学生短歌コンクール60周年記念盲学生短歌集」の音訳(デイジー版)が蔵書として収められたことを知り早速取り寄せてよんだ。60年の秀歌がぎっしり掲載されている。小学部の児童から理療科の人生経験豊かな方の作品まで、日常生活を詠んだ作品、自然詠、心の内を詠んだ作品とバラエティーにも富んだ歌集だ。また、このコンクールが大新聞社の主催ではなく一地方の盲学校の生徒会活動から始まったということもすばらしいことだと思う。ぜひご一読をお薦めします。そして作歌にとりくみましょう。
 日記代わりに、備忘録代わりに、紀行の印象として・・・発表の機会も身近にあります。例えばライトセンター発行の「かけはし」の「みんなで作るページ」、NHK文芸千評(ラジオ第1放送土曜午前11時)、デイジー録音で発行されている短歌誌 、「NHK短歌」「角川短歌」など。
 定型詩に川柳、俳句もありますが色々約束があります。その点短歌は、「サラダ記念日」のように口語で詠むこともできます。
 例えばこんな風に
 「外国のお客様には便利という 鎌倉駅は JOセブン ああ」 
(駅名を記号化することにより、迷子になることを解消する方策。JOは横須賀線のこと、始発駅の久里浜を1として2番が衣笠・・逗子は6番、鎌倉は7番、北鎌倉は8番となる。)


  4.編集後記                      菊地 賢三

 前号でのいでたち通信の配信配布に関する皆様へのお問い合わせの結果、何らかの形で約半数の方からご希望ご意見等が寄せられました。配信配布停止希望の方もいらっしゃいました。継続希望の方には引き続き配布配信いたしたいと思います。有難うございました。
 編集者として点字の読み書きが出来ず、墨字からの点字化はパソコン任せの部分があり、点字読者の方にはご迷惑をおかけしております。さらに研鑽を積んでまいりたいと思います。

 


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