いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

     
1. 難しい原稿書き                    馬場 威力

 最近の二、三の作文教室だけではなく、小学生時代から作文では頭を悩まされ続けてきた。それくらいに、物を書くことは、私にとっては難しいものだった。廃刊に追いやられた、ある機関紙の編集長がこぼしていた、誰も原稿を書いてくれないのだ、と。
 私たち数人で始めた、このいでたち通信も初期のころ、ご多分に漏れず視覚障碍者用の機関紙と言う性質もあってか原稿が集まらなかった。と言って、特定の投稿者だけでは内容に新鮮さが失われる危険性があるとの思いから読者、特に全盲の読者の方々に投稿をお願いすることにした。比較的お付き合いの長かった4人の皆さんにお願いしてみた。その回答は予想通りだった。書いたことなど全くないのに、どうやって書くの!
 素直に考え直してみた。そして各人の経験、特徴などを強調できるような所に焦点を合わせて書いていただくように、改めてお願いしてみることことにした。今は亡きIさんには、その豊かな人生経験の数々、Hさんには積極的な日常生活の一断面、Mさんには社会活動での感想、SさんにはOG仲間とのお付き合いの実場面。確かに書くべきものを豊富にお持ちでも、それを文章化するのは私自身いやと言うほど、原稿を赤ペンで直された経験をしてきた。その赤ペン族が恥も外聞もなく原稿をお願いするのだから、ずいぶん無茶なものだ。
 が、幸いにも4人の方から名文を頂戴できた。Iさんはカナ点字で書かれた原稿を墨字訳し、2回にわたって紙面を飾っていただけた。Hさんは取材と言う名の「おしゃべり」内容を文章化させていただいた。Mさんは初めから墨字、それをメールでいただけた。Sさんは出席された同窓会の光景をメモして下さった。
 人間書けば書けるものと思いますが、いかがでしょうか。 

  2.たけのこご飯                     いでたろう

材料二人前
ゆでたけのこ160グラム、米2合、油揚げ半枚、しめじ50グラム、昆布5センチ角1枚、木の芽適量、水300CC,薄口醤油大さじ2、酒おおさじ2
 1)米を洗い、30分水に浸け、ザルに上げ水気を切る。
 2)たけのこは穂先の部分は3センチ切り取り、それをやや厚めの薄切りにする。真ん中の部分は繊維に沿って短冊切りにする。根元の部分はいちょう切りにする。
 3)油揚げはザルの上で熱湯をかけ、水気を切り、細切りにする。
 4)しめじは石突を取り、ほぐす。
 5)炊飯器に米を入れ、全ての材料を入れる。この際混ぜたり、かき回したりしない。
 6)炊き上がったら底から混ぜ、茶碗によそい、木の芽を手で叩いてのせる。

ポイント 具材、出汁はシンプルに、たけのこの各部分を使う、炊飯器に入れたらすぐに炊く。

  3.思いつくままの走り書き ―ビギナーズラック―     中村 斉

 例えばカードやマージャンなどのゲームや、ゴルフなどの競技や釣りなどをするとき、全くの初心者、ルールをやっと覚えたくらいで技術的にはほとんど知らない者が、大方の予想を裏切ってよい成績を挙げることを、ビギナーズラックという、などと私が説明するまでのことはないでしょう。
 私が通っているデイケアー職員のお一人に、五七五を楽しむ会を週一回まとめてプリントして作品を投じた者に配布してくださった上に、幾つかの作品に寸評をつけて下さる方がいらっしゃった。その方が転勤され、会が自然消滅してしまい、作句に励んでいた私の心に穴が出来てしまった。ここで私は一念発起、短歌の結社に入ってみようと考えた。名人は一年一作、などと時にはノートに書き留める程度の五七五好きではあったのだが、偶然見た(聞いた)短歌誌に、伝統ある結社が隣の市で現在も活動しているときいて、入社させていただいた。ちょうどその頃、鶴ヶ岡八幡宮の神事として短歌を奉献する会の詠草を募っていた。はじめてのことなので応募の規定からしらべたところ、提出は毛筆によるが代筆も可とあり、妻の応援もあり提出することができた。後日、入選の知らせと共に3月25日に若宮堂で行われる献歌式への招待状をいただいた。折しもこの日は私達の57回目の結婚記念日の前日とあって喜んで参列した。当日いただいた歌集によると応募の詠草は900数十首とのこと。入賞が10首、入選が20種、つまり最近耳慣れた言い方では私の歌は30位タイというわけだ。将にビギナーズラック。頭がくらくらする程の喜びだった。
 池の面に 肩寄せあえど 声ひそめ 渡りの時待つ 一群れの雁
 とんだ自慢話で大変恐縮な一文だが、おわりに今回学んだことを書き留めたい。
①何歳になっても、新しい事にチャレンジする意欲をもちたい。
②一生懸命取り組めば、幸運を引き寄せることも在り得る。
また一つ貴重な体験をしたご報告です。

  4.編集後記                      菊地 賢三

 この通信の現在の発行母体であるボランティアいでたちは平成10年4月に設立され、本年4月に20周年を迎えました。いでたち通信は創刊号が平成13年4月24日でその冒頭に次の様な挨拶がありました。
「ご挨拶 男のボランティアグループいでたちでは、先月、栄区の福祉保健活動拠点に設置されました、カナ点字用のパソコンとプリンターを使って、いでたち通信を発行することにしました。その目的は、目に障害をお持ちの方々に、適切な情報を、できるだけ早くお伝えすることです。皆様方のお役に立つような、いでたち通信にしていきたいので、是非、皆様方のご意見、ご提案をお聞かせください。点字で結構ですから、井上進までご連絡ください。お待ちしております。いでたち代表宗像
普」
 懐かしく初心を忘れないようにしたいと思います。

 


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