いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

     

  1.箱根の精進ヶ池                  飯島 みや子

 孫に誘われてドライブした。行先は箱根。随分古いことだが主人と二人で箱根山中を歩き、二子山の麓の石仏と精進ヶ池を思い出した。その頃湯坂道は急坂で何度も休みながら登り、曽我兄弟の石碑があり、程なく濁った精進ヶ池が見えた。池の廻りにはたくさんの石仏があり、大きな地蔵様の側で一休みした。首のない地蔵、石碑が崩れたり、野天に晒された石仏群。持参したむすびを少しずつ分けて供えた。赤銅色に濁った池にはうっそうとした山影が映り、小鳥の囀り。余りにも静かで恐ろしい。この難所の山道を越えた江戸時代の旅人、雲助、おいはぎ、泥棒、財布を取られたり、命を失ったり、雪や雨の山道、さぞ難儀であったことと思う。旅人の安全を守り、行き倒れや死者を追悼してくれた地蔵様。すっかり変わってしまった。国道は広く休憩所があり、あの崩れた石仏も休憩所の中に修められ、あの3メートルもある地蔵菩薩坐像は国道の西側の岩山に修められていた。お参りして池に行くと当時のたくさんの石塔や石仏が池の廻りに点在していた。多くの石造物や磨崖仏に加えて、永仁4年(1296)に作られた多田満仲の墓を始めとして、八百比丘尼の墓、六道地蔵、慶長地蔵…鎌倉時代に作られた2100もの仏像など、重要文化財に指定されている。精進ヶ池には大蛇がひそんで旅人をのんだとか。神秘的な大蛇や竜の好む場所として伝説の発想にむすびついている。

  2.超簡単ポトフ                    いでたろう

 材料4人分
 ウインナーソーセージ 6本、にんじん 1本、キャベツ 3枚、大根 8分の1本、固形コンソメ 3個水 900cc
(1)水にコンソメを入れ沸騰させる。
(2)大きめに切った材料を入れる。
(3)大根が半透明なったら出来上がり。
 ポイント コンソメスープの濃さはこの比率。他に野菜はトマト、玉ねぎ、じゃが芋、コーンなどもお勧め。

  3.思い付くままの走り書き -誕生日に-         中村 斉

 私、中村斉は11月14日に誕生日を迎え86歳になった。本物の親爺だ。普通の生活をしている限り、もう少しこの地上で生きて行くことができそうだ。出来れば90歳のラインは超えてみたい。古い記憶をたどってみたら七五三の祝いに、神社で、神官の祝詞の奏上を聴き、その後お払いを受けた5歳の記憶がある。正式なお赤飯ではないが、母が小豆ご飯を誕生日の朝食の膳に炊いてくれて「おめでとう」と家族そろって言ってもらったのがうれしかった。戦後の物資不足の一二年を除いて私が大学を卒業するまでつづけてくれた母の心をこの歳になってありがたいと思っている。
 家族の誕生日が10~12月に集中するので中村家合同誕生祝いの会を開き、食事をしながら語り合うことにしている。今年は娘の職場のグルメさんに紹介していただき、「中華街の隠れ家」で食事をした。ワインセラーならぬショウコウシュセラーを備えたお店で、提供してくれた酒が格別においしかった。
 私は、昔からことば遊びが好きで詩を書いたり、俳句をひねったりしたが、人生の終わりに感動の伝わる短歌の一首も遺したいと一念発起して短歌に取り組むことにした。これが物になるかどうかはお楽しみだが、86歳の誕生日を機に始めようとは私自身もお釈迦さまも予想しなかったことだろう。昔は名人気取りで10年に一作なんてことだったが毎月7首、或る短歌誌に投稿することになる。こりゃ大変なことでござる。

  4. 編集後記                     菊地 賢三

 先日横浜線の新横浜駅で降り、鶴見川沿いに日産スタジアムから小机城址までを歩いた。多くの人が住む地域にこんなにも幅の狭い川とスタジアム付近の大規模な遊水地に驚いた。また、小机城は戦国時代のお城で徳川家康の頃に廃城となり、本丸、郭、空堀などがよく残っているが横浜線や第三京浜道路によって分断されている。自然や歴史の中で、人々の安全や快適さの為の開発などが織り成されていることを実感した。

 

いでたちサロンへ いでたちサロンへ 目次のページへ 目次ページへ