いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

     
 1.寒かった高尾                    馬場 威力

 初冬のころ、知り合いのMさんから「那覇市から来る視覚障碍者の母子を、高尾にある日本医科大学病院へ案内し、検査・診療を誘導して下さる人は居ないだろうか」と相談され、お引き受けした。早速、ホームページで、その大学病院を調べてみた。中央線高尾駅からバスの便、当日の眼科担当の医師の名前も確認できた。
 横浜の西の果ての栄区から高尾は遠い。本郷台駅から磯子駅、そこで同じホームから出発の八王子駅行きの直通電車に乗り換える。勿論、本郷台駅から東神奈川駅まで行き、そこで乗り換えても良かったけれど、混雑時の階段の上り降りを避けるのが誘導の基本だろう。
当日は夜来の雨、それも冷たい雨だった。7時30分に本郷台駅でMさんから、前夜、Mさん宅に泊まられたYさんと小学2年生の男子S君母子の誘導を引きついだ。電車とバスは順調、病院には10時前に着いた。紹介状を持ってはいたものの、初診の二人、受付の手続きが30分もかかり、先行きが思いやられた。

 案の定、眼科の外来で待つ、検査、待つ。診療、待つ、検査、待つ、診療とすべて終わったのは午後3時。S君が、おとなしくお母さんの言うことを聞いていたのは、日ごろの躾の賜物か。もっとも、親切な担当医は検査の合間に昼食時間を取って下さったので、S君のいらいらは半減したのかも知れない。
 帰りの電車の中でお母さんが「先生から納得のいく検査と説明をしていただけたので、はるばる沖縄から出て来た甲斐がありました。帰ってから、琉球大学付属病院の主治医とよく相談します」と、その顔は微笑んでおられた。私もほっとした。と同時に、寒い中の長時間のお世話に「やりがい」を感じたものだった。

 2.思いつくままの走り書きー心に余裕をー         中村 斉

 テレビを見たりラジオを聴いていると「あんなに広告を繰り返さなくても・・」と思ったり、ドラマの中に広告が忍び込んだりすると話がわからなくなるなと思ったりすることがある。
 老人は腹を立てる。「腹をやたらに立てるのは認知症の進行を疑ってみることが必要だ」ともいわれる。ちょっとひるむ。私も外面的にはいつも穏やかな表情をしているようだが、いろいろと意見もあるし、もの申したくなることもある。でも少々の事には腹を立てないのは心に多少の余裕があるからだとおもう。自分の好きな音楽に親しんだり、落語を聴いたり、読書をしながらそれとなくその余裕を蓄積しているのだ。大げさに言わなくとも、だれでもが時には新聞のコラムを読んで気を晴らしたり,クロスワードパズルを完成させてすっきりした気分を味わったり、飴玉のひとつもなめて「あー旨い」と溜飲を下げたりしているのだ。ごく自然に心に余裕を蓄積しておきたいものだ。この作業を少し意識的に進めるのが趣味とか教養。男にとっては大工仕事をするとか庭いじりすること。私の同僚に草むしりをしながら、ぶつぶつと文句を言ったり、少し大きな声で嘆息したりして、「すっきりしたー」と、にこにこしている人もいた。「目が見えなければ、そんなことできません」といわれればそれまでだが、例えば紐で囲んだ30センチ四方なら草がきれいにむしれたことは、触察できるだろう。やってみる価値はありそうだ。それも出来ない私は川柳を詠んだりしてストレスを解放する。時には「旨く詠めたワイ」と思う傑作も生まれるだろうから、62円ほど出費してラジオ局宛に投稿する。ただし代筆してくれる人を探すのはたいへんだが。でもビギナーズラックで、ラジオで詠んでもらった上にお米の2キロくらい届くことがないでもない。
 みなさん何か一つうまい方法で心に余裕を蓄積しましょうよ。

3.汁なし坦々うどん                  いでたろう

 材料(二人分)茹でうどん2玉、豚挽き肉150グラム、にんにくみじん切り小さじ半分、ねぎみじん切り大さじ2、酒大さじ1、甜麺醤(てんめんじゃん)大さじ2、鶏がらスープの素小さじ1、すり白ごまおおさじ1、サラダ油、酒、白髪ねぎ、適量
 1.フライパンに油を熱し、ひき肉を入れほぐすように炒める、
 2.肉の色が変わったらにんにく、ねぎ、酒を加え甜麺醤を加え炒める。
 3.水1/2カップ、鶏がらスープの素を加え、ふたをして汁気が少し残る程度まで煮込み、ごまを加える。(肉みそ完成)
 4.茹でうどんを温め、水気をよく切り器に盛る。
 5.うどんに肉みそをかけ、白髪ねぎを乗せる。

ポイント 甘めを好きな方むけ。辛め好きな方は甜麺醤の代わりに、豆板醤とみそ、好みでラー油を加えるのも良い。

 4.編集後記                      菊地 賢三

 またNHKのバリバラ(Eテレ、日曜19時)の話ですが、番組を見て改めて「障害」の多様性に思い悩みました。発達障害の方(このことにも多様性があるのですが)のある方の応対でも、何故とか、どうやってとかの質問は良くなく、はい、いいえで答えられる問いかけにしたほうが良いとのことでした。その方はなぜという問いかけには、ありとあらゆる答えを、一所懸命考えるに考えるため答えられないのではないかとのことでした。

 

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