いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

 

  1.いでたちの想い出2 ―パソコン指導―        馬場 威力

 

視覚障碍者の最大の問題点は健常者への通信方法だろう。6点点字を使える人はまだしも、それも使えないとなると、お互い同士の連絡もままならなくなる。
 その対応策を、桐生さんを中心に考えてみた…PCトーカーをベースに、インターネットを、メールを使えるようにはならないだろうか、と言う結論に達するのに時間はかからなかった。取り敢えず集まっていただけた視覚障碍者の方は小菅ヶ谷のHさん、Mさん、港南区のSさんの3人。先ず、インターネットとは、メールとは、どのようなものかを桐生さんが長沼町の畠山さんのお宅へ3人を案内し、パソコンを使って説明したものの、なかなか実感が伴わない。で、理解が困難なのは予め予想されていたことだったので、庄戸3丁目の自宅で待機中の馬場と畠山さんのお宅との間で実演、打てば響くようなメールのやり取りを繰りかえして、ようやく納得していただけたのだった。
 パソコンを勉強してみたいと強く希望されたのは、6点点字を読み書きできるものの、晴眼者と積極的に交流を図りたいと自宅にノートパソコンをお持ちの中途失明のMさん、6点点字には全く困らない、生まれながらの全盲者で、デスクトップパソコンをお持ちのSさんのお二人で、パソコン担当の桐生さんと、日本語担当の馬場とでMさんを、丸山さんと井上さんとでSさんを担当し…2000年の真夏のころ、小菅ヶ谷の社協事務所で特訓が始まった。
 Mさんはパソコンを背負って小菅ヶ谷の自宅から一人で歩いてお見えになり、Sさんは港南区の野庭の自宅から港南台駅までバス、そして電車で本郷台駅、よくも一人でバス、電車を乗り継いで来られるものと感心したものだった。そこから丸山さんか井上さんが社協まで誘導…生徒も先生も汗だくだくの真夏の午後の2~3時間だった。私など、冷や汗たらたらの毎日だった。その特訓が実って、涼しくなり始めたころにはメールもインターネットも使えるようになられたお二人だった。その後フォローのために、Mさんのお宅、Sさんのお宅へは畠山さんと頻繁にお邪魔するようになった。

 

  2.思いつく間の走り書き ―観桜―            中村 斉

 

 5月の話題としては季節遅れと思われるかも知れない。でも、終わりまで読んでいただければ私が伝えたい意を理解していただけると確信している。
 今年も弥生の空は桜の花にいろどられ、多くの人々が花を愛で、花に酔い、花を描き、花を詠んだことだろう。私が通所しているデイケアでは桜と紫陽花の花園を巡るスロープと回遊路を整備した。先ずは利用者が三々五々楽しんだ。私も車椅子を押してもらい談笑しながら爛漫の春を楽しんだ。
「花と空 溶け合いて妙(たえ) 花曇り」(麦斉)
 もとより残念ながら桜の実景は私には見えない。しかし、先人の遺した歌や句また絵画や言の葉を元に桜の心を、心の財産として持っているので、人々の花を愛でる言葉や感嘆の声や息遣いに目前の花を見ることが出来るのだ。だから私の盲目であることを気遣い、花の美しさを語り合うことを止めないでいただきたい。古典的な視覚障害者への接し方を説いた本やレポートには「視覚障害者と会話するときには色彩や花の話題は避けたほうが良い」という趣旨の一文があったものだ。現在ではこれは誤った配慮だ。布地やバッグ等の持ち物の色を判断して、伝えてくれる器具も開発され、視障者自身でその日の衣装のコーディネートを楽しむ時代。美術館では視障者と晴眼者と共に楽しむ絵画の鑑賞会も開催される時代。私が参加した絵画の鑑賞会は「会話」による鑑賞会だったが、作品の、作者が表現しようとした心や追い求める美しさが画面から訴えるものを、まがりなりにも捕らえることが出来たと思っている。
 この春花を見ながらヒントを得た拙作の一首を添える。
「口々に 花を讃える言の葉を 紡げば心に 万だの桜」
     *万だ=満開の意味。ばんだと読む

 

  3.坦坦うどん                     いでたろう

 

 材料二人前 うどん2玉、青梗菜4枚、合ひき肉100グラム、水2カップ、鶏がらスープの素小さじ1、白ゴマペースト大さじ2、みそ大さじ2、とうばんじゃん小さじ2、しょうゆ少々
 1.青梗菜はあらかじめ3分ほど茹でて、あげておく
 2.熱したフライパンでひき肉を炒め、色が変わったら水を入れ、ひと煮立ちさせる
 3.その他の調味料を全て入れ、煮立ったら火を止め、ひき肉を小さな器にあげておく
 4.うどんを熱く茹で、ザルにあげ器に盛り、3のスープを注ぎ、青梗菜とひき肉を乗せる
 ポイント 食べるときはともかく、作るときは出来るだけ熱くする

 

  4.編集後記                      菊地 賢三

 

 国際も国内もいろいろ話題や問題があって騒がしい。どうにもならないことや、日常の生活に大きな影響のありそうなこともある。期待を持つようなこともあるが、悪い話題のほうが多いような気がする。こういう時は昔のことを思い、自然を愛で、好きなものを食べるのが良いのではないでしょうか。ということで今号の3つ、如何でしょうか。

 

 

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