いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

1.障害者差別解消法の施行                 丸山 弘人

一昨年6月に公布された、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法が、二年近い準備期間を経て、今年4月から施行されることになった。
 この法律は、身体・知的・精神・その他心身の機能障害を理由に差別的取り扱いや権利侵害をしてはいけないこと、日常生活・社会生活を過ごす上での社会的障壁を取り除くための合理的配慮(国の行政機関・地方公共団体等に対しては法的義務であるが、民間事業者に対しては努力義務となっている)をすること、国が差別や権利侵害を防ぐための啓発や知識を広めるための取り組みを行わなければならないことを定めている。
 また、障害のあるなしにかかわらず、だれもが分け隔てなくお互いを尊重し合って、安全に暮らして行けるような、豊かな共生社会の実現を目的としており、そのために、次のように二種類の差別を禁止している。一つ目は、見えない・聞こえない・歩けない・判断できないといった機能障害を理由にし、健常者と区別して制限し排除することを、禁止している。二つ目は、障害のある人とない人が生活面で平等に扱われるように、障害のある人への社会的障壁を軽減・排除するような合理的配慮を提供しないことを、禁止している。そこで、禁止された差別を解消するために、国と自治体に差別解消の取り組みが義務づけられ、国と自治体は既存の行政の相談機関を使って問題解決に取り組むことになった。そして国と自治体は、さまざまな相談機関や学識経験者やNPOで活動する人と連携するため、障害者差別解消支援地域協議会を設置して、相談事例の検討やその他の機関に協力を依頼することができ、どうしても解決しない場合は、裁判所の判断を必要とすることもある。
 この法律は、障害者にとってはパソコンソフト ウインドウズ10を新たにインストールしたことに匹敵する変化であるが、これをいかに理解し施行していくかが重要である。例えば、当事者からあらゆる差別の事例を収集し、定義し、解決するための独自の機関の設置や条例の制定等を、国や自治体に働きかけて、施行3年目の見直しに備える必要がある。

 

2.えのきのオロシ和え                    畠山 工

素材分量2人分、 

えのきだけ100グラム、大根100グラム、しょうゆ大さじ1、みりん大さじ1

(1)大根はすりおろし、水気を軽く絞っておく。

(2)えのきだけは根元を切り落とし、2センチの長さに切る。

(3)鍋にえのきだけと調味料を入れて焦げ付かないように混ぜながら、汁気が少なくなるまで中火で煮る。

(4)すりおろした大根と合わせる。

エネルギー80キロカロリー、 塩分1グラム 

 

3.思い付くままの走り書き―差別解消への当事者の心構え―   中村 斉

4月1日、いよいよ障害者差別解消法が施行された。街に繰り出した身体障害者に一般の方は支援の手を差し伸べたり、何かお手伝いすることありますか、と声を掛けてくださるだろうか。原稿を書いている時点では、障害者としては大いに期待しているのだが行きつ戻りつの春先の気候同様に、トラブルつづきかと年寄りは後ろ向きになり勝ちだ。(反省します)順調にスタート出来ただろうか。心配になる。
 3月上旬に、私は浜身連のお世話で、あの桂 歌丸さんの落語会を楽しんだ。会場の関内ホールは、歴史のある立派なホールだが、障害者への対応はどうだろうかと 、また心配。歴史の古さと施設の充実とは、裏腹な場合が多いからな、一体、車椅子での移動は難しいかも知れないとまた心配が重なる。待つほどに、チケットを見直すと、私達の席は2階の・・とあり、本館では2階でのエレベーターの乗降は出来ません。という否定の情報が入った。「こりゃだめじゃ、折角雨の中をやって来たのに、クソー。」でも一方、身障者の参加を知らないはずはない。何とかしてくれるだろうなどと、根拠のない考えも浮かび大きな気になることもあった。もう一方では身体障害者の団体から頂いたチケットだ、 座席指定の券なのだからと気を取り戻したりもした。そこに客席担当の主任さんが現れて、こう告げた「若い者に担わせますので、ご心配無く」まさにバンザイだった。さんざん気を揉んだので私は嬉しさいっぱい。だが同行の妻は私を指差して、「あの重たいんですよ。すみません」と、女性らしい感謝の言葉をくりかえしていた。主任さんのテキパキとした指示と車椅子を担ってくれた若者のパワーで、無事着席。歌丸さんの「塩原太助 青との別れ」の長講一席を余すところ無く楽しめた。身障者歓迎の体制が組まれていたのが何ともうれしかった。
 帰りのJRのなかでは男性の方が手伝いを申し出てくださったが、「お心をいただきます」と申し上げて、下車の際の車椅子の操作をみていただいた。 新聞でもテレビでも「障害者差別解消法」施行がつたえられるので、当事者のみなさんが次に外出するときには、きっとたくさんの声がかかるとおもいます。当事者としてはまず感謝して、お手伝いしていただくなら、「右手の肘、つかませてください。」とか「駅前の横断歩道を渡らせてください」などお願いする内容を、出来るだけ具体的に伝えることが大切だと思います。革命などと大きな言葉は避けるとしても、長い間の流れの向きを変えようとするのですから、それなりの構えと努力が必要なことはご理解しておられるでしょうか。

 

4.編集後記                        菊地 賢三

 今号では障害者差別解消法をテーマに、二つ頂きました。同法に対する横浜市の取組み(提言)では市民の皆さんにお願いしたことの中に、障害の有無に関わらずお互いに理解して同じ一人の市民として考えていく必要があるとしています。そしてお願いしたいことの例として、障害のある人を哀れんだり、特別視しないでください。 必要以上に障害のことを根掘り葉掘り聞かないでください。の二つが挙げられています。これも心して参りましょう。


 
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