いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

1.ハリウッド映画を自分史に生かす方法             新名 哲明

盲導犬の物語をアニメ映画にしようとして、8年ほど市民運動をやったことがあります。「映画はシナリオが命」ということで、ハリウッド映画のシナリオ構成法を専門家のもとで勉強しました。そのとき初めて、ハリウッド映画の多くが「3幕構成法」で作られていることを知ったのです。
この3幕構成法とは、大まかに言えば、全体を「はじめ」「なか」「おわり」の3つに分けるもので、それぞれの幕には別個の役割が振られています。たとえば、「はじめ」である1幕の役割は「セットアップ」です。つまり、誰が中心人物で、物語のなかで何を解決する必要があるのか、などを設定します。そしてそれらを設定し終わったときに、物語は2幕へと入っていくのです。
 こういった構成法は、映画だけでなく多くのものに応用できます。といいますか、この構成法自体が、およそ人間というものの行動や人生を基盤にしているのです。こういった点もあって、3幕構成法で作られたハリウッド映画は、世界中の人たちから共感を得ることに成功しています。
 この構成法の応用例として、とても身近なものに「自分史」があるでしょう。自分史を書く場合、「それぞれのエピソードは書けるけれど、全体の構成をどうしたらいいかわからない」という人が多いのではないでしょうか。その結果として、ストレートに「『誕生』から始まって、『現在』に至る」という時系列的な構成を採用することになります。
 もちろん、人生の記録という意味では、そのようなストレートな構成でも構わず、むしろそのほうがふさわしいとさえ思えます。しかし、そうであっても、上記の3幕構成法を意識していれば、自分の人生の「意味」がはっきりとしてきて、それを踏まえた構成にすることができるでしょう。
 具体的には、自分の人生を3つの幕に分けてみる。そのためには、1幕の終わりと2幕の終わりが何だったのかを考える。あるいは、2幕の始めと3幕の始めでもいい。そして、映画でもそうですが、一般的には2幕が長いので、2幕については前半と後半に分けてみる。この前半と後半の分かれ目は、映画では「ミッドポイント」と言われていて、文字どおり物語の中央に位置するものです。
 こうして自分の人生を見直してみると、「ああ、あの事件が自分の2幕のスタートだったんだな」とか、「あれがミッドポインドだったのか」といったことが理解できると思います。そして、それほど波乱万丈ではなかったと思っていた自分の人生も、意外にも映画のような劇的な構成を持ったストーリーだったことに気が付かれるのではないでしょうか。
 そうなれば、たとえ時系列的な書き方であっても、おのずとメリハリのついた構成となっていくに違いありません。いわば3幕構成法は、自分史を書いていくうえでの羅針盤であって、大いに活用のしがいがあるものだと言えるでしょう。
 (ちなみに、日本の映画は「起承転結」を意識しているものが多いようですが、黒澤明の「七人の侍」や周防正行の「Shall we ダンス?」は3幕構成です。そのために外国人にも理解されやすく、それぞれ海外でリメイクされています)

 

2.いかと野菜の中華風炒め                    畠山 工

素材分量4人分、 
 するめいか1枚、生しいたけ4枚、赤ピーマン1個、青ピーマン2個、ねぎ10センチ、しょうが1片、片栗粉大さじ1杯半、サラダ油大さじ2、みりん大さじ2、酢大さじ1、豆板醤小さじ2、しょうゆ大さじ1杯半、
 (1)いかは、表面に斜め格子に切り込みを入れ、一口大に切り、大さじ1杯の片栗粉をまぶし、熱湯でサッとゆでる。
 (2)ピーマンも一口大に切り、ねぎは1センチ幅に切り、しょうがはみじん切りにする。
 (3)生しいたけは、石突を切り落としてそぎ切りにする。
 (4)水大さじ3杯と残りの片栗粉、調味料を混ぜ、合わせ調味料をつくる。
 (5)中華鍋にサラダ油を熱し、ねぎ、しょうがを炒める。良い香りが立って来たらピーマン、生しいたけ、いかの順に炒め、合わせ調味料を混ぜながら加え、炒め合わせる。
 エネルギー146キロカロリー、 塩分1.5グラム

 

3.思いつくままの走り書き―この頃の日常から―          中村 斉

最近の私の暮らしの中のエピソードです。よろしくお付き合いください。
 ○月○日 早速一向に上達しない俳句を一つ。
   地を裂きて 春を告げたり 福寿草  
 寄せ植の鉢をばらして福寿草を露地に下ろしたのは数年前のこと。白馬山麓には福寿草の自生群もあると聞く。丈夫な植物であるようで、毎年2月末には花を咲かせている。今年は2週間も早く、建国記念の日に一輪咲き、翌日には3輪になった。私は妻にガイドしてもらい、花と茎を触察した。肥料っ気の無い硬い土地なのに、地を裂いて発芽する力は逞しく、感心するばかりだ。やせた土地なのに例年「春になりましたよ」と律義に咲いてくれるのがうれしい。色は記憶に頼るほかないが、「いい色よ」と教えてもらい、ご機嫌である。この辺りでは露地の福寿草はあまり聞かない。きれいな春告げ花ではあるが、弱毒性なので、口にしてはなりません。
 ○月○日コーラスの練習の後で、リリスホールのレストランで昼食をとった。今日のホールの催しはと見れば「青少年読書推進会議」という重々しい主宰団体の名前があったが、最近時折テレビの番組で紹介されている「ビブリオバトル」を栄区内の中高生が行うという。ビブリオとは本のことで、バトルは戦いだ。短時間で、一冊の本の内容、あらすじの紹介、読みどころを聴衆に伝える。この日の制限時間は3分だったが、内容をしっかり捉えていないと読んでみようかな・・・という気持ちにさせるのは至難の事だと思う。けれどもバトラー(戦士)をつとめた諸君は伝える内容もよく整理されていて、私は惜しみない拍手を送った。 中高生の知的レベルを再確認出来てたのしかった。
 南関東に春一番が吹いて六月の気温を記録した日、久しぶりに庭で福寿草を愛でながら軽くグラス一杯のビールをいただいた。この日の気温は一般にビールを飲みたくなる気温と夕方のニュースで聞いた。今年ビールを一番おいしく感じる日に夫婦で乾杯したことになったのだろう。

 

4.編集後記                          菊地 賢三

 巻頭言を書いていただいた新名様は栄視協の会員の新名様の配偶者でいらっしゃいます。ある出版社の元編集員をされたそうです。
 ハリウッド映画の多くが三幕構成であるとのことです。私なぞは起承転結の四幕構成がすっかり馴染んでいましたが、やはりスピード感が違うのでしょうか。一般的に西洋が偶数好み、東洋は奇数好みなのに四幕構成は合わないなとは思ってはおりましたが、いろいろ勉強になりました。


 
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