いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

1.老人のひとり言                           堀 重一

季節の移ろいは早い。桜開花前線が南から北へ日本列島を駆け抜けたと思ったら新緑そして梅雨へと自然は移り変わっていく。これに併せたように今年は新年早々から所用やら、遠方の旧知との懇親やらで家を離れることが多かった。
 そんなおり、行く先々で外国人観光客にたびたび行き合った。新幹線の待合室や車中で、町なかの散策で、社寺を訪れたときに。これまでにない光景である。これがありふれた日常になっているとの地元の声である。円安、ビザ条件緩和の背景もあってのことか。いや、日本の良さが認識されたからだと思いたい。
 先人から受け継いだ貴重な財産の文化遺産や食文化を活かした歴史が世界の人びとに知れわたったからだろう。高品質・高機能の物づくりの産業立国から堂々と観光立国にも変身したんじゃないかと思う。日本人ならではのきめ細かな心遣い、接遇が居心地の良さをかもし出しているのだろう。思い起こせば、2020年東京五輪・パラリンピックの招致にあたりプレゼンテーションで日本のお・も・て・な・しが拍手喝采を浴びたことは記憶に新しい。これからも外国人観光客はますます増えそうである。おもてなしの心は行動に移してこそ本物。外国の人たちに気軽に挨拶ぐらいはできる老人たちがいて当り前になりたい。超高齢社会の国の老人パワーを発揮するチャンス到来である
 もう一つ気になったのは、パソコンやスマホと場所を選ばず、操作している人の多いことである。日進月歩する文明の利器を大いに活用するのは良しとしても私にとって異様な雰囲気に映る。早朝と夕方の便の新幹線車中では出張の行き帰りの会社員だろう業務報告なのかパソコンのキーを懸命に叩いている姿には頑張れよとエールを送りたくなる。一方、困ったことは歩道を片手にスマホを持って自転車を全力疾走させる若い世代。とっさに身をかわすことのできない老人が犠牲になることがよくあるらしい。
 スマホは、情報収集や会話をしたり利便性は高い。が、片時も手放さずいることが何かと社会問題になっている。本来、コミュニケーションとは対面してその人と言葉を交わしてこそ相互理解できる。奇しくして、信州大学の学長が今年の入学式で新入生に、スマートホンやめますか、それとも信大生やめますか、と語りかけたことが大きな話題になった。真剣に考えるべきではないか。
 急変は無理かも知れないが、アナログ人間からデジタル人間へ時の流れに順応していこう。外歩きをして感じたままを。老人のひとり言である。

 

2.春キャベツと鮭のバター炒め                     畠山 工

  素材分量2人分、 

春キャベツ200グラム、生鮭140グラム、まいたけ50グラム、塩少々、酒大さじ4、鶏がらスープの素適量、バター10グラム、こしょう少々、サラダ油小さじ1、白ごま適量、

(1)鮭は塩をふって焼き、身をほぐして骨を取り除く。

2)キャベツは芯のかたい部分を取り除き、ザク切りにする。まいたけは食べやすい大きさにほぐす。

3)フライパンにサラダ油を熱し、キャベツ、まいたけを入れて軽く炒めて酒をふる。キャベツがしんなりしたら、がらスープの素をふってさらに炒める。

4)焼きほぐした鮭を加えて軽く混ぜ、バターを加え、全体になじんだら、こしょうをふる。

5)器に盛って白ごまをふる。

エネルギー216キロカロリー、 塩分1グラム


3.思いつくままの走り書き
  ―これからの高齢者にとって必要なことはきょうようときょういく―   中村 斉

 これはラジオの健康情報コーナーの受け売りなのですが、高名な医療ジャーナリストの発言ですし、的を射た情報と考えご紹介する次第です。最近「ぼくドラえもんでおなじみの大山信代さんが、認知症ということをご主人が語られ話題になっています。数年前には女優の南田洋子さんの日常生活の動画がテレビで放映され議論をよびました。
 有吉佐和子さんが小説「恍惚の人」を発表されたのは、1970年代と記憶していますが、有吉さんの警鐘でボケ老人問題に関心がたかまりました。最近ではボケではなく認知症という診断名になりました。認知症に関するさまざまな情報がマスメディアを通して私達にももたらされていますし、区の健康福祉センターでも、認知症予防の実技も含めて講習会も開催されています。また認知症の方のケアについての講習会も開催され、これを受講された方々が認知症のかたのサポートボランティアとして名乗りを揚げ、その目印としてバンダナを身に着けている方々をおみかけすることがあるようになりました。どうせなるなら、いっそボケちゃったほうが楽なんじゃないかなという声もきくようですが、病に自らかかることは決して楽ではないことも承知しています。
 そこでラジオで聴いた「認知症を遠ざける方法」のひとつをご紹介しましょう。それが表題の「きょういく(今日行く所がある)」と、「今日する用事を持ちましょう」という、二つの提案です。私の身近でも、お宅にうかがうと、まるで亡霊のように現れた方が「きょういく」「きょうよう」の二つの条件が整えられたら、全く生き生きと生活するようになられた方を実際しっています。

 さて「今日行く・今日用情報」は何処で得られるのでしょう。はい、それはあなたのお住まいのポストに届くはずです。神奈川県の情報、横浜市の情報はそれぞれの「公報」で、みつけましょう。またもっと身近な情報は、そうですコスモス情報誌が強い味方です。500円もって、昭和の歌謡を歌いに行く情報も、おいしいランチやスイーツ情報もポストに届くCDの中に録音されています。さーお手元の録音再生機のスイッチをオンにしましょう。私は公報よこはまでドクター高峰さんと泉ピン子女史の講義を聴きににぎわい座にいってきまーす。

 

4.あなたにとっての大平山(おおひらやま)はどこですか          林 真

東日本大震災で津波の被害を受けた小学校の生徒全員が津波の被害を逃れて助かった様子を描いた絵本が完成しました。 福島県浪江町請戸(うけと)小学校は海岸から300mほどの場所にあり、学校は全部津波にのまれてしまい4年たったいまでも校舎はボロボロの状態です。 2011311日震災当日、請戸小学校では翌日の卒業式の準備をしていました。地震が発生すると先生方は生徒全員を校庭に集めましたが、津波警報を知った校長先生が「大平山ににげろ」と指示を出しました。生徒たちが1.5km離れた大平山の麓までくると山への登り口が解らず困ってしまいました。 ところが、山で野球練習をしたことがある4年生の男子生徒が「僕が裏道を知っている」と手を上げ、その生徒の道案内で全校生徒が大平山に避難することができました。その10分後に請戸小学校校舎は津波にのまれてしまいました。しかしこのようにして生徒たちは全員が助かりました。その話を聞いた東京のNPO法人「団塊のノーブレスオブリージュ」が浪江町で起こったことを風化させてはいけない、絵本を作って伝えていこうと考え、武蔵野美術大学の学生たちやライターに企画を持ち上げ、一緒に何度も浪江町を訪ねて町長以下当時の関係者に直接話を聞いて約1年がかりで絵本「請戸小学校物語」を作り上げたものです。 絵本の狙いは「地域のことを良く知り、逃げる場所を知っておくことが請戸小学校の教訓になる」というもので、絵本の最後の言葉は「あなたにとっての大平山はどこですか」という言葉になっています。
 事実に基づくこの物語にはいざという時の適切な指示、その指示に従った素早い行動とそして日頃からの地域の皆さんとの信頼関係など、災害時における大切なことがらが含まれています。 あなたも絵本の最後の言葉を自分自身に置き換えて、いざという時のこころづもりを日ごろから考えておいていただきたいと思います。 


 
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