いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

  1.本郷ふじやま公園を見学して                  杉山 忠弘

 私が最初にここを訪れたのは、まだ公園事業が検討されていた平成10年です。本郷町の里山に富士塚があるので行かないかと誘われたのです。小岩井家の脇から竹藪に入り、尾根伝いに道なき道を歩き登ったものです。富士塚は江戸中期、富士山信仰が盛んだったころ造られましたが、その後信仰がおとろえ関東大震災で高台が崩れ、また樹木が伸びてきて、当時は富士山の展望が出来ませんでした。今年の3月末日、ボランティアをしている障害者施設「すぺーすモモ」でレクレーションがあり、職員、メンバーを案内して「本郷ふじやま公園」に行きました。
 公園は平成15年に名主であった小岩井家の長屋門と主屋を移築、整備して開園しました。元々の主屋は江戸後期、弘化4年(1847年)、ペルー艦隊来航(1853年)の6年前に新築したものです。当時の当地は相模国ではありますが幕府の直轄領で武蔵国川越藩が治めていました。主屋は家族の住居と武家屋敷様式の座敷が併設されていますが、座敷は役所となっていました。床柱はふたかかえもあるケヤキの柱です。移築のときの調査では床柱の基礎には小石が千個余りあり経文が書かれていたそうです。家内繁栄を願ったものだそうですが、その小石のお蔭で関東大震災では被害を免れたとのことです。武家様式の座敷は三間、上座敷、中座敷、下座敷と身分により座る座敷は決まっていました。畳の縁については、座敷の畳にはありますが名主の住居にはありませんが、武家と農家の差です。
 相模国では薬の製造を許されていましたのが二軒ですが、小岩井家がその一軒です。当時の薬のことを「ういろう」と言い、薬は仁丹のような万能薬だそうです。いまも小田原の「ういろう」という店で売っているそうです。ペリー来航では川越藩も海岸の防備につきましたが、名主の小岩井家氏も公務で浦賀を行き来しました。その時に見聞きした黒船を小舟が取り囲んでいる絵が壁にえがかれていると説明がありました。また、古文書が多くあり人足、荷役などに関する陳情書があり当時を知る貴重な資料がたくさんあるそうです。
 黒船の絵は次回の見学として帰ることにし、富士塚を詣で、三ルート中の竹林道を通り、里山を下りました。

 

2.鶏肉とピーマンの焼きびたし                   畠山 工

素材分量2人分、 
鶏もも肉1枚、ピーマン2個、柚子ポン酢大さじ3、オリーブオイル大さじ半分、酒大さじ1、塩少々、こしょう少々、
1)鶏肉は余分な脂身を取り除き、一口大のそぎ切りにし、塩とこしょうと酒で下味をつける。2)ピーマンは縦に4等分し、長さを半分に切る。
3)フライパンにオリーブオイルを熱し、下味をつけた鶏肉の汁気を切って両面を焼き、蓋をして中まで火を通す。
4)鶏肉に火が通ったらピーマンを加えて焼く。
5)焼いた鶏肉とピーマンをバットに入れてぽん酢を振りかけ、上下を返しながら10分ほどつけて味をなじませる。
エネルギー340キロカロリー、 塩分2.5グラム 

 

3.思いつくままの走り書き −84歳の観桜−              中村 斉 

 桜 今年の花は、例年になく、という言葉が頭についていたようだ。花の色も香りも花の数やら、入学式の日の役割も開花も満開も散り始めも、文頭に、例年になくというフレ−ズがつけられそうだった。もう何年になるだろうか、私の視覚では花の色も形も青空に溶けて、ただ陽光が眩しいだけの観桜というより「聴桜」というわけですが・・・というわけ、それも、その場に居合わせた方の言葉を聞くのが楽しいのです。久方の光のどかな春の午後、デイケアの前庭の桜が見ごろだというので数人のグループに分かれて観桜することになりました。私は、いまや爛漫と咲き誇る花を全体として眺められる位置に車椅子を止めていただき、みなさんが口々に発する言葉を楽しみに聴きながら観桜をしました。一番聴き取った言葉は意外にも、素敵ねでも綺麗ねでもなく、男女を問わず、すごい、すごいでありました。もちろん高齢の方々が発する第一声であります。所変わって栄区役所付近のいたち川沿いの桜を楽しんでいると、若い男性の一群がやってきて 「これってヤバくない」とか「やばーい、こんなにきれいに咲いてんだ」と口々に桜を讃えているのです。一瞬「やばい」とは何事だ、他の言葉は無いのか、このボキャ貧奴等め、と心の中で怒った私だが・・・。70余年前、学徒動員のころ、いけないこと、まずいことの隠語として覚えた「やばい」が、いつの間にか語義を変え、賞賛の言葉として使われている事実の面白さと、桜花に対する庶民のことばには参りました、私はもうあなた(さくら)の美しさには、参りましたということかなと思いなおして、にやりと微笑んだものでありました。

 

  4.編集後記                           菊地 賢三

 心理学の用語で、パーナム効果というのがあるそうです。性格判断や占いの本において、誰にでも当てはまる様なあいまいで一般的な事柄が記載されていると、それが自分に当てはまっていると錯覚してしまう現象を言うそうです。確かに「あなたには内気なところがある」とか「他人から尊敬されたいと思っているところがある」などと言われると、「それ当たっている」と思いがちですね。こういう場合に限らず、あいまいで自尊心をくすぐられるような表現で言われると、その人をなんか信用したくなりますね。詐欺師の手口だそうです。気をつけましょう。


 
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