いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
 
  
 

1.求むるあれば万事窮す                     前村 一成 

昨年11月、傘寿を迎えることができました。これまで還暦、古希、喜寿と通過してきた訳ですが、これらの時点では全く気にも留めませんでしたが、今回傘寿を迎え、頭から冷水をかけられたような感じで、全体的にこれまでのことを反省するよう警告された心持です。
 若い時は80歳に成ることは全く意識せず、当然ながら老人に成った時の体調のこと、人生計画などあろうはずはありません。これらを踏まえ「人生とは何か」と良く見聞きしますが納得できる解答は聞いたことがありません。宗教や仏教では諸行無常とか欲を捨てろ、でしょうか。一休禅僧の「欲なければ一切足り、求むるあれば万事窮す」とありました。先だってTVで「現況を肯定できるものは幸せである」とも言っておりました。
 この歳に成ると時間的には余裕がありますので、書物、TVなどメディアに依って知識はいくらでも吸収できます。年齢を重ねるたびに大なり小なり成長するわけですから、希望を持つことも大切ではないでしょうか。その証拠に前に読んだ同じ本でも読み返して見ると価値観が変わるのは私だけではないと思います。これらの他に思うことは50代60代に成るとなんとか仕事もできるように成り、いっぱしの大人と思っておりましたが、この歳に成って、なんと未熟であったことかと恥じ入るばかりです。
 50代60代は鼻たれ小僧、70代80代は父ちゃん坊やといった言葉が流行ったことを覚えております。文化人、知識人から見れば、私など父ちゃん坊やかもしれませんが、特別悲観している訳ではありません。私ごとですが35歳のとき縁あって中近東(レバノン、アブダビ、サウジアラビア他)へ渡航、10年滞在しました。私の場合個人だったので色々な人との出会いがありました。滞在中は余り意識しませんでしたが、海外生活での知識、体験が今になって大変役に立っております。
 知識を持つということは、言うまでもなく心身ともに健康になり幸福につながることは言うまでもありません。これからは体力的に限界がありますので、せめて知識を養うことに精進したいと考えております。


2.牛肉と大根の韓国風煮込み                    畠山 工 

素材分量4人分、 
牛カルビスライス200グラム、大根700グラム、干ししいたけ6枚、赤唐辛子1本、しょうが半片、大根の葉適量、しょうゆ大さじ5、酒大さじ4、サラダ油大さじ1、砂糖大さじ1、みりん大さじ3
 (1)干ししいたけは、カップ2杯半のぬるま湯でもどし、軸を切り落として大きければ半分に切る。もどし汁は取っておく。
 (2)大根は厚めに皮を剥ぎ、厚さ2センチの輪切りにして半分に切る。
 (3)大根の葉はざく切りにし、赤唐辛子はへたを取って種を取り除く。しょうがは薄切りにする。
 (4)鍋にサラダ油を熱して牛肉を炒め、大根としいたけを加えて炒め合わせる。酒としいたけのもどし汁を加え、煮立ったら火を弱めてアクを取る。
 (5)赤唐辛子、しょうが、みりん、砂糖を加えて蓋をし、20分ほど煮る。
 (6)しょうゆ大さじ3を加えてさらに20分ほど煮て、仕上げに残りのしょうゆと大根の葉を加えて5分ほど煮る。

エネルギー307キロカロリー、 塩分3.0グラム 

 

3.思いつくままの走り書き―7度目の年男のお正月―          中村 斉 

  あらたしき年のはじめに降る雪を 幸先良しと吾は読み解く  麦斉

 とうとう7度目の年男です。元日の雪、これはめでたいと直感。終わってみなければわからないのだけれど、願望もこめて冒頭の詩が頭に浮かんだ。勿論座して待つだけではなく、良い年になるように、可能な努力は惜しむまい。それなりの努力は必要。何となききな臭さを感じる今、戦中戦後の暮らしの体験者として、平和ヘの願いを達成しなければ、次代を担う人たちに顔向けが出来ないと思う。老いたりとはいえ、これからが正念場だ。日本人はそんなに馬鹿者ではない事を世界に示さなければ、死んでも死に切れまいと思いつつ、正月は正月らしくのんびりと過ごした。
 それにしても、今年は「北風小僧の勘太郎」クンは元気だ。申し訳ないが、化石燃料に頼って、ぬくぬくと読書と映画鑑賞を楽しませてもらった。山本一力の小説「乾の追い手」。ペリー来航の頃の江戸湾岸や大川沿いの街を背景にした力作。教科書には書かれない庶民の暮らしや人情を描かれた世界へワープ。その頃の盲人に出会うこともあって、ここ数年正月の一冊は、山本一力作品を読むのが慣わしになった。
 戦後間もなくは、正月といえば映画鑑賞だった。エノケン ロッパ アボット・コステロ ローレル・ハーディそれにビング クロスビーに腹を抱えた。今年は久しぶりに五本も映画を、ごろ寝しながらたのしんだ。「つり馬鹿日誌」「オールウエイズ三丁目の夕日」健さんの「しあわせの黄色いハンカチ」などシネマデイジーを5本、限りなく映画を見ているように楽しめる。これだけCDも出揃えば晴眼の人と映画の話も出来そうな気分になった。あまりに家に閉じこもっていたので、11日は健福会館へ。横浜市視覚障害者福祉協会創立50周年記念大会に参加。日盲連会長竹下義樹さんの記念講演を拝聴。一年後に施行される「障害者差別禁止法」をめぐって、多くの事例を引用してはなされた。講演の中で「盲の事は、盲者でなければ解らないと言われているが、この法を実のあるものとするには障害者自身の意見を述べあい、要求する事が絶対必要だ。」(主旨)を強調されたことが印象に残っている。
 18日(日)杉田劇場へ若手真打五人衆の落語会へ。柔らか頭を創るには絶好の機会であった。

 

4.編集後記                            菊地 賢三 

 冬至が過ぎて大寒も過ぎました。これらの名前は二十四節気(にじゅうしせっき)と言うそうです。ほかに立春、啓蟄、春分、立夏、夏至、大暑、立秋、秋分、立冬などは良く使いますが、その他にも小寒、雨水、清明、穀雨、小満、芒種(ぼうしゅ)などなどあります。和歴でも月日は使いますが、西洋カレンダーでの月日のみより、アジアモンスーン気候を取り入れた太陰太陽暦を使うと季節感があふれて面白いですね。

  
 

 
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