いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。


1. iPS細胞 井上 進
   山中伸弥さんが開発したiPS細胞は、体のあらゆる臓器の再生や難病に有効な薬剤の発見につながると期待され、世界中のあらゆる分野で研究が進められています。その最初の再生治療計画が厚労省に申請されました。
対象となるのは目の病気で、日本に70万人もの患者がいる加齢黄斑変性症です。網膜の中心部にある黄斑の機能が損なわれ、最悪失明に至る難病で、従来の治療では治らない患者6人に、患者自身の皮膚細胞から作製したiPS細胞を、網膜の裏側にある網膜色素上皮の細胞に変化させ、シート状にして痛んだ細胞と手術で置き換えるのだそうです。早ければ来年にも視力を取り戻す人がでてくるかも知れないとのこと、すばらしいですね。

2. にんにく風味の鶏手羽焼き 畠山工
 素材分量2人分、
鶏手羽中300グラム、にんにく2片、赤唐辛子2本、
ローリエ2枚、レモン半分、しょうゆ小さじ2、強力粉大さじ半分、
こしょう少々、ピュアオリーブオイル大さじ2、
(1)にんにくは包丁でたたきつぶし、赤唐辛子は半分に切って種を取り除く。レモン
は櫛形に切る。
(2)手羽肉にしょうゆをまぶす。
(3)ポリ袋に空気を入れてから、手羽肉と強力粉、こしょうを入れて口をしっかり閉
じて、ポリ袋ごとふって、手羽肉に粉をまぶしつける。
(4)フライパンに、オリーブオイルと赤唐辛子とにんにく、ローリエを入れて中火で
熱する。オリーブオイルに充分香りが移ったら、手羽肉を並べ入れて焼く。カリッと
したら裏返してさらに焼き、両面をカリカリに焼きあげる。
(5)器に盛り、レモンを添える。
 エネルギー330キロカロリー、 塩分1グラム、

3. 「思いつくままの走り書き」(122回)―歌舞伎座の柿(こけら)落とし― 中村 斉
   あっしは、野次馬でござんす。「駅前にネタのいいすし屋が開店した」ときけば、「とりあえず行ってみよう」とがま口をにぎる。「隣の町のレストランのトンカツは安くて旨い」と誘われれば「よしや」とばかりにくりだす。 「村上春樹の三年ぶりの小説が出版される」と聞けば、「時代に遅れるな」と、ネットで予約する。ストラデバリューを千住真理子さんが、奏でてくれると聞くと隣の隣の町のコンサートホールまでルンルン気分で行く。「歌舞伎座の柿(こけら)落としなんて、一生に一度あるかどうかのチャンスよ」と説得されて財布を逆様にして振るいながら、懐勘定しているところへ、まあ何と入場券が当選の朗報が飛び込み「こいつあー、春から、縁起がいいわい・・・」というわけで野次馬も少しばかりめかしこんで芝居見物に出かけることとした。
 目が見えなくなってからもいろいろな所にでむいた。宿願の広島と沖縄の慰霊の旅を果たし、書道展や美術館へも何の抵抗も無く訪れた。横浜美術館での会話による鑑賞会には進んで参加した。今度は景色でも美術でも、視覚以外の感覚で鑑賞したり、楽しむことができることをさらに実感したい。柿(こけら)落とし公演の「勧進帳を楽しむわけだが、学生時代に鑑賞した一代前の役者の演技を思い出つつ、父母との見物を想起したりしたら、涙がとまらないかもしれない。だらしのない野次馬だ。私達が、夫婦になって52年目の春、いまが人生で一番ハッピーな時なのかもしれない。April 1 2013
 (注)こけらおとしの表記は岩波の広辞苑辞典では、柿落としとなっているが、歌舞伎座のチラシには柿葺落としと表記されています
 
4. 編集後記 井上 進
 息子から電話がありました。声が少し変です。気管支炎になってしまってとゴホン、ゴホンとすごいせき込みようです。話の内容は大要次のようでした。
1) 昨日すきやで食事したとき、財布、携帯、会社の書類の入った鞄を忘れてきた。
2) 問い合わせたら調べてあとで連絡すると言われた。
3) こちらで連絡が受けられないので、おやじさんのところに連絡するように頼んだ。
4) そちらに電話がいくので聞いておいて欲しい。仕事の手がすいたとき、こっちから電話する。
明らかに変です。息子は中国に赴任していて、今、日本にいません。
「あんた本当にうちの息子?名前言ってみて」「息子の嫁さんの名は?」
いずれも答えられません。
「自分や嫁さんの名前も言えない息子はうちにはいません。ばかもん!」と言って電話を切りました。
恐らく鞄は出てこなかった。お金がなくて困った。友達にそちらに取りに行ってもらうのでお金を渡してほしいと繋がるのでしょう。おれおれ詐欺のお粗末でした。
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