いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。


1.  書くとは省略していくこと 井上 進
   800字エッセーを書くのを趣味にしています。この800という字数、なにもなければ800字は埋められないし、といって多くは語れない。
作家の藤本義一さんによると、たとえば「妻と結婚して30年がたちました」は「妻との30年」の表現で十分だといいます。しかし話すときはそれでは聴き手がうなずいてくれない。話すときは丁寧に言葉をつなげなければならない。つまりそこが言うそばから消えてしまう言葉と、行間を読むことができる文章の違いだというのです。
 私は800字の作文にあたり、いかに中身を濃く、リズム感があり、しかも自分らしさを失わないように、と思っているのですが、まだまだです。

2. 豚バラ肉と大根の煮物 畠山工
素材分量2人分、
薄切り豚バラ肉80グラム、大根250グラム、サラダ油大さじ半分、麺汁適量、
(1)大根は皮をやや厚めに剥き、大きめの一口大の乱切りする。
(2)豚肉は2センチ位の幅に食べやすく切る。
(3)フライパンにサラダ油を熱し、豚肉を炒め、大根も入れて炒め合わせる。
(4)麺汁とカップ一杯半の水を入れ、アルミホイルなどで落とし蓋をし、弱めの中火
で煮汁がほとんどなくなるまで煮詰める。
 エネルギー190キロカロリー、 塩分1.5グラム、

3. 一句拝見(いでたち11月いろは句会より) 
日差しあり赤白黄色の野菊かな      じゅんのすけ
日輪の光輝冴えし里の暮れ        まさひろ
柿落葉一陣の風に舞いあがり       きよし
木枯らしのビルの谷間を足早に      よしお
4  「思いつくままの走り書き」119 ―ミユージックソン― 中村 斉 
   毎年12月24・25の両日にわたり、ニッポン放送ではチャリティー番組、ミュージックソンを放送している。
 「目の不自由な方が安心して街を歩けるように音の出る信号機を」が今年のキャッチフレーズであった。番組の目的が明確なので、多くの視覚障害者が関心を寄せていて、番組への感想・意見。体験談などを投稿している。私も24日の深夜に下の感想文をメールした。
 ちなみに12月25日正午までの募金の集計は5000万円を上まわっていた。音声付信号機を設置するのに1基ざっと100万円かかる。また設置までには最短で2年かかると番組で知った。(以下が送信したメッセージ)

 こんにちは。横浜市栄区の中村81歳です。ミュージックソンは第1回から拝聴しています。少額ですが募金を断続的にしてきました。というのも私自身の現在の視力は光覚ですし、第1回のミュージックソンが放送される以前に、夜盲のことで眼科医院で受診したところ、「将来目が見えなくなるかもしれない」ことを告知されていたので、希望と障害に負けない勇気を番組の中からいただいたものです。その後番組が、「お祭り」「バラエティー」的な色彩が濃くなり「はて、これでいいのかな」と首をひねった年もありました。
 しかし、昨年からは啓発的な内容が盛られ、視覚障害者が、一般の方々に訴えたい内容も含まれ充実した内容になりました。今年メインキャスターの大竹しのぶさんの穏やかな話し方と、アシスタント垣花アナウンサーの明るさで、しめっぽくなく温かい放送になりました。また事前に慶応義塾大学教授中野先生の、視覚障害と視覚障害者を取り囲む社会状況についての講義を役員社員一同が受講するなどその本気度は立派だというほかない。こうした背景から、アナウンサーレポートなどの好企画が生まれた。このキャンペーンが、ますます充実して「視覚障害者になっても安心して暮らせる社会づくり」(前述の中野先生の言葉)が進むようにワッチして行きたいと思っている。
 
5. 編集後記 井上 進
 年末に上野で開かれていた「尊厳の芸術展」を観ました。第二次世界大戦時、アメリカ在住の日本人12万人は砂漠などに作られた収容所に隔離されていました。希望のない過酷な生活でしたが、人々は決してへこたれませんでした。子どもたちには収容者が教師になり授業を行い、ダンス、音楽、俳句、柔道、野球などの文化・スポーツ活動が行われました。また乏しい道具や廃材などを使って机、椅子、棚、籠などの生活用品や彫刻、絵画、装身具、遊び道具も制作しました。この芸術展はそれらの制作品を展示し、その生活ぶりを伝えるものでした。そこに示されているのは日本人の不屈の精神、創造性の豊かさなど、現代の私たちが忘れかけているものを伝えているように感じました。
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