いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。


1. 駅のホームから転落を防ぐために 井上 進
   駅のホームからの転落を防止のための電子白杖の開発が進んでいます。従来の電子白杖は、超音波センサーで正面や看板やサイドミラーなど高い所の障害物を感知することはできても、へこみを感知することができませんでした。視覚障害者からへこみに反応する機能がほしいとの要望があり、最近愛媛大学で試作された電子白杖は赤外線センサーを白杖に外付けするタイプで階段や駅のホームに近づくと振動や周囲の人にも伝えるブザーで知らせるようになっているとのことです。しかも従来3万円ほどだった価格も、1万円程度にして来年度中に販売を目指すとのことです。実験に立ち会った視覚障害者からも軽くて使いやすいし好評で、その発売が待たれます。

2. 鶏むね肉の塩麹炒め 畠山工
 素材分量2人分、
鶏むね肉1枚、長ねぎ1本、セロリ半本、パプリカ(赤)4分の1個、しょうが1片、
塩麹大さじ2、酒大さじ3、ごま油大さじ1、こしょう少々、片栗粉適量
(1)セロリとパプリカは乱切りにし、ねぎは斜め切りにし、しょうがは薄切りにする。
(2)鶏肉は一口大に切り、塩麹大さじ1と酒大さじ1、こしょうで下味をつけ、味がなじむまで30分ほどおく。
(3)下味をつけた鶏肉に、片栗粉を薄くまぶし、湯通しをする。
(4)ボウルに、残りの塩麹と酒、こしょうを入れて併せ調味料を作る。
(5)フライパンにごま油大さじ半分を熱し、しょうがを炒める。香りが出てきたら、セロリ、パプリカ、ねぎを加えて炒め、併せ調味料を加えて味を調える。
(6)湯通しした鶏肉を加えて軽く混ぜ、残りのごま油を回し入れて火を止める。
エネルギー265キロカロリー、 塩分2.8グラム 

3. 一句拝見(いでたち3月いろは句会より)  
雪柳小米のように風にゆれ      じゅんのすけ
鶯の姿は見えず一声を        おさむ
水温むいたち川辺で子らの声     まさひろ
菜の花の谷戸の日差しを返しけり   たけこ

4. 「思いつくままの走り書き」110 ―眉間にしわをよせない美術鑑賞の奨め― 
中村 斉
 横浜市立美術館では、視覚障害者にも美術鑑賞を楽しんでもらおうと、その方策を検討してきた。この度、視覚障害者と晴眼者がペアーでゲームを楽しむ感覚で、会話を交わしながら作品のイメージを心に描くことをゴールと設定して、どのペアーもゴールインできるように支援するツールとして「コレクション作品鑑賞サポートシート」を作成し、気軽に活用して視覚障害者が美術鑑賞できる準備を整えた。この鑑賞サポートシートを作成するには、多くの視覚障害者が参加し、鑑賞方法や内容についても感想・意見を述べてきた。
 私はといえば、小学生のころ観たダビンチの「モナリザ」「最後の晩餐」(いま思えば模写作品か)を観た印象を持ちつづけていて、絵画や彫刻に接すると何となく、ここち良く感じる程度の者でしかなかったが、視力がいよいよ衰えて行くころになって作品を自分の目に残しておきたい気持ちが高まって美術館をイヤホーンガイドを聞きながら通り抜けることをしたようだ。美術鑑賞のイヤホーンガイドは、作品に関する知識薀蓄を提供してくれて楽しくもあり「おべんきょう」した気分にもなるのだが・・・。サポートシートを片手に晴眼者と会話しつつ一作品30分程度時間をかけて鑑賞すると、心に残る鑑賞ができると私は思う。
 先日鑑賞した、イサム野口の彫刻「真夜中の太陽」と同時に鑑賞した河野通勢(こうのみちせい)の「自画像について、2ヶ月くらい経過した現在でも作者の意図や表現についてパートナーと繰り返し話し合えるのも楽しい。
 散歩に出かけ「きれいな花」というだれかの声を聞いたら「どんな色」「どんな形」「大きさは」と矢継ぎ早に声の主に問いかけ、こころに花を咲かせると同様に、ぜひ一度横浜美術館を訪れてパートナーと会話しながら鑑賞することをお奨めします。触れることは視覚障害者の文化であり情報入手の重要な手段ですが、会話を通してイメージを創り上げるのも新鮮な体験になると思う。いつの日か横浜美術館でお会いして、お茶をしながら一枚の絵の感想を述べ合うなんてオシャレでは あーりませんか。

5. 編集後記 井上 進
 3月18日桂台地域ケアプラザで世代間交流サロンが開かれました。そのイベントの一つとして防災ネット主導の防災キャンペーンがあり、「いでたち」で「家具転倒防止器具」の展示と説明を分担しました。
 このところ毎日のように日本のどこかで地震があり、首都直下型地震など大災害が予想されているせいでしょうか。明らかに以前に比べて参加者の関心が高まっていて、しかもほとんどの家庭で何らかの転倒防止処置はすでに行っている様子がうかがえました。しかしまだ手のつきかねている冷蔵庫、ピアノ、大型テレビなどの対策をたずねる人の多いのが印象に残りました。

 いでたちトップページへ  目次ページへ