いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。


1. 緊急時医療情報キット 丸山 弘人
 前号の井上さんのお話に関連して、お知らせいたします。
 みなさん、緊急時医療情報キットをご存知ですか。これは、栄区役所新館の福祉保健課や、お近くの地域ケアプラザの地域包括支援センターで、栄区内在住の65歳以上の高齢者や、障害者のみなさんに配布しているものです。
 キットの内容は、容器、情報シート、情報シート記入見本、キットが冷蔵庫に入っていることを知らせるための玄関のドア内側用と、冷蔵庫の扉用表示シールです。
この情報シートに、かかりつけのお医者さんのお名前や、飲んでいるお薬の明細などの医療情報を記入し、冷蔵庫に保管しておくことで、緊急時に速やかな対応を受けられるようにするためのものです。
 災害時の被害を最小限に抑えるために、防災グッズの準備や、家具の転倒防止に加えて、必要とされる人には知っておいてもらいたい個人情報も、分かるようにしておくことが大事なことだと思います。

2. 豚肉とピーマンの甜麺醤炒め 畠山 工
 素材分量2人分、
薄切り豚肉150グラム、ピーマン4個、赤唐辛子1本、にんにく1片、
サラダ油大さじ1、しょうゆ大さじ1、酒大さじ1、甜麺醤適量、
(1)赤唐辛子は種を取り除き、小口切りにする。にんにくは薄切りにする。
(2)ピーマンは種を取り除き、乱切りにする。
(3)豚肉は3センチぐらいの幅に切り、しょうゆ小さじ1と酒小さじ1で下味をつける。
(4)フライパンにサラダ油を熱し、にんにく、赤唐辛子を入れて弱火で炒め、香りが出たら下味をつけた豚肉をを加えて強火で炒める。
(5)豚肉に火が通ったら、ピーマンを加えてさらに炒める。
(6)残りの調味料を加え、全体を大きく混ぜて味をからめる。
 エネルギー312キロカロリー、塩分2.5グラム、

3. 一句拝見(いでたち7月いろは句会より)  
水がめのこんなところに蜥蜴かな    まさひろ
近づけば向日葵の丈吾ほどに      じゅんのすけ
故郷の変わらぬ棚田青田波       おさむ
孫探す土筆見かけし土手の坂      よしお
地震雲まことおそろし地震雲       きよし
台風は待ちに待ちいる雨なれど     たけこ

4. 「思いつくままの走り書き」(102)
―興奮しています― 
中村 斉
 年のせいか近頃は怒ることも興奮することも、ほとんどなくなった。なのに、その私がかなり興奮している。誰かに罵られてあったまに来たというのではない。政治家の不甲斐無さとか、誰かを高いところに上らせて梯子をはずすジャーナリズムの悪癖に興奮しているのでもない。久し振りに素晴しい演劇に出会い心地良く興奮しているのだ。
 実は7月24日に神奈川芸術劇場3階の中ホールで公演された「親指小僧」を観て(正しくは聴いて)興奮しているのだ。ペロー原作の同名の童話を装置として組み立てられた小屋の中に設えられたベッドに、毛布にくるまり横たわって聴くのである。
 前日にこの公演を観た朝日新聞の記者が書いた小さな記事をパソコンで読んで私は「見に行こう」と決めたのである。私のマインドマップには、チケットセンターが指定する前売り券を購入できるコンビニは区内に存在しないという悪条件。でも観たい。ところが念ずれば通じたのである。つまり若干の当日券が発売される。これはラッキーと開演1時間前に会場に到着しチケットをゲットできた次第。山小屋の書割りだけではなく床に敷きつめた木のチップ、嗅覚を通して、山深さを教える。ベッドに横たわりなら、ひと喰い鬼がやってくる一夜の物語を、ともさと衣さんが時にやさしくときに思い入れたっぷりに、また時には朗々と語り聞かせる。鬼が家を叩き恐ろしい声でわめく音楽も雰囲気を盛り上げる。視力を使わなくてもどっぷり童話の世界につかることができた。あまり快適だったので、眠り込んでしまったのは私の不覚。鼾をかいたので「起きなさい」の妻のサインが3回。終演になったときどうも話のいくつかの場面と結末を思い出すことが出来なかった。でも感想文に私はこう書いてもらった。テレビドラマに解説放送があり、同様に映画も視覚障害者も晴眼者と同時に楽しむことができる。美術館でも視覚障害者を対象にした鑑賞会を開く時代に、なぜか新劇と呼ばれるジャンルの劇団では、客席の最前列を視障者に提供はしてくださったが、限られた劇団がイヤホーンでガイドしてくれた以上には、バリアフリー鑑賞への試みに取組んでもらえなかった。聴覚障害者にはすこし申し訳ないが、今回は老若男女を問わず晴眼者も視障者も共に楽しめる作品だった。聞けば東北地方と関西地方を巡演するという。地域の視覚障害者団体への働きかけをお奨めしたい。これをキッカケに神奈川県立芸術劇場でもバリアフリー上演を試みてくださることを希望したい。熟睡したのはわが不覚。だが、価値ある70分だった。

5. 編集後記 井上 進
 2万人以上の犠牲者のでた東日本大震災で、数十万にも及ぶ被災者が終始冷静に行動している様子に、世界の国々から賞賛の声が上がっています。こんなとき、パニックや略奪が頻発する国が多いのに、日本ではそれが見られないというのです。
 後進国に限らず先進国のアメリカでさえそうでした。05年8月、アメリカ・メキシコ湾岸を襲ったハリケーン・カトリーナ。長期予報のできる災害なのに、避難もままならず、4州に壊滅的な被害が発生し、1,000人以上の死者がでました。そして被災地では暴力、略奪が多発したのです。
 なぜ日本人は冷静なのか。教育レベルの高さに加えて、日本で災害が起こっても、国や周囲の人が必ず助けてくれるという信頼感があるからです。自分でしか自分を助けられない国との違いです。

 いでたちトップページへ  目次ページへ