いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。


1. 自分の存在を知ってもらう 井上 進
 前号で丸山さんが書かれていましたが、横浜市では地震等の災害発生時に、自力避難が困難な高齢者や障害者が迅速に避難するために、地域での自主的な安否確認や避難支援が不可欠であるとしています。
 確かにその通りで、そのためには、要支援の方が自分の存在を自ら地域の方に知ってもらう努力をする必要があると思っています。その方法を私なりに列記してみます。
 (1) 住所、氏名、年齢、血液型、障害の種類、かかりつけの医師、常備薬、緊急時の連絡先などを書いたもの(携帯安心カード)を常に身につけておく。
 (2) 同様のものを紙に大きく書いて自宅の電話機の側などに貼っておく。
 (3) 自治会、老人会や触れ合いサロンには可能な限り顔を出し、近隣の人との接触を深めておく。
 (4) 向う三軒両隣の人と常に仲良くしておく。
 (5) 自治会や民生委員の方に自分から「支援おねがい」と手を挙げておく。
などです。私も高齢者の一人として、(5)はもう少しあとにしますが、(1)〜(4)はすでに実践しています。

2.  たこときゅうりとわかめの甘酢和え 畠山 工
 素材分量2人分、 ゆでたこ120グラム、きゅうり1本、わかめ10グラム、しょうゆ大さじ1、みりん大さじ半分、酢大さじ1、塩適量、
(1)たこは薄切りにする。
(2)きゅうりは縦半分に切り、斜め薄切りにし、塩少々をふり、しばらくおいてから水気を絞る。
(3)わかめは水に漬けて戻し、熱湯に通して水にとり、一口大に切る。
(4)調味料を混ぜ合わせて三杯酢を作る。 (5)器に盛り、三杯酢をかける。
  エネルギー85キロカロリー、 塩分1.6グラム 

3. 「思いつくままの走り書き」(101)
 空振りを恐れずに  
中村 斉

改めて説くほどのことではないが、野球では投手が投げた球を打者がスイングしてもバットに当てることが出来ないことを「空振り」という。この場合ストライクとしてカウントされる。だからといってバットを振らなくともすトライクゾーンに投げられた球を見送ればそれもストライクにカウントされる。
 何とかわかっていただこうとえらく遠回りをしてしまったが、地域の方々との懇談会に出席しどなたかとお話して親しくなろうと思い立ち、勇んで会合に出席はするのだが、自分の周囲の方の凡その年齢や趣味や関心事は何かなどの情報を視覚から得ることが出来ず2時間どなたとも一言も交わすことなく閉会になり、袋づめのお茶菓子などをいただいて、すごすごと帰路に着くという結果になることが多い。割と目立ちたがり屋の私でさえ、コミニュケートするチャンスを掴み得ない。晴眼の方は視覚障害者からすると、牛若丸のように、ここと思えばまたあちらと移動されるから、正面にいる方に声を掛けたら、もうそこにはどなたもいないで、そこにはただ風が吹いている状態。などと大空振りとなり、「そこにはどなたもいませんよ」と教えられた時の恥ずかしさは、まさにハデに空振りした上に尻餅を搗いたようでさみしい。ピエロの心境だなどとマジ落ち込む視障者もいるかも知れない。でも見逃しの三振より空振りの三振のほうが、積極性がチームメートの志気を鼓舞するだろうし、監督さんの評価もあがるだろう。
 災害時にお互いに顔見知りの関係になっていたほうが望ましいと考え、開催してくださる会食や茶話会を良い機会ととらえ空振りも恐れず積極的に言葉をかけ、自分をしってもらい視覚障害の特性についても理解していただけるように努力しようと自分に言い聞かせる。同時に仲間にも空振りを恐れずにコミニュケーションをとる努力をしましょうと呼びかけたい。

4. 編集後記   井上 進
 5月5日付毎日新聞の記事を読んで驚きました。
「東京電力は4日、福島第一原発の復旧にたずさわる作業員の生活環境改善策を発表した。これまでレトルトなどの非常食で床に雑魚寝をしていた生活環境から、弁当を供給し、新たにプレハブ寮を設置して、ベッドやシャワーを増設するという。改善策では5月中旬に1日2食分を弁当に、同月中旬にはシャワーとベッドの増設を始める……」 えっ、放射能の恐怖の中で必死に働いている人たちを2カ月間もレトルト食品と雑魚寝の生活をさせていたなんて。この一事だけで東京電力の体質を見た気がしました。
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