いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。


1.

ふれあいを深めよう 

  井上 進
 視覚障害者におねがいしての小学校の福祉体験学習で、あらかじめ子どもたちに出してもらった質問に、「ご飯を食べるときは、お風呂に入るときは、着替えをするときは……」などがありました。子どもらしい率直な内容ですが、目の見えない人の生活は健常者のそれと大きな違いがあるとの思い込みがあるのかなという印象を持ちました。しかし、それらの質問に答える形での視覚障害者の話から、耳やにおいや手の感覚を研ぎすませて、目の代わりをする視覚障害者の生活を知り、自分たちとそう変わらないと、驚きの表情を見せていました。
 同じころ別の小学校で、栄区初めてのイベントとして、視覚障害者福祉協会の皆さんと小学4年生の児童の交流会が開かれました。「ともに生きる町づくり」を勉強しようと子どもたちが自主的に企画、運営したもので、歌、ゲーム、誘導体験、合奏、ピアノ演奏それに給食をともに食べるなど多彩なものとなりました。
 従来から行われている視覚障害者の生活の話やアイマスク体験などの福祉体験学習に加えて、お互いの交流会にまで発展したのはすばらしいことです。まずお互いを知り合うこと、垣根を取り外しての触れ合いを深め、共に生きる社会、助けあえる関係を作り上げていく。これからも努力を続けていきましょう。

2. 鶏肉と根菜の和え物 畠山 工
 素材分量2人分、
鶏ささ身2本、にんじん半分、かぶ1個、さやえんどう6枚、
ピーナッツ20グラム、だし汁大さじ1、しょうゆ大さじ半分、
はちみつ大さじ半分、酒大さじ3、塩少々、こしょう少々、
(1)ピーナッツはみじん切りにする。
(2)さやえんどうは、塩少々を加えた熱湯でゆで、斜め半分に切る。
(3)かぶとにんじんは、皮をむき、食べやすい大きさに切る。
(4)にんじんを水からゆで、竹串が通るくらいのかたさになったら、かぶを加え、さっとゆでてざるにあげる。 
(5)鶏肉は、フライパンに並べて軽く塩とこしょうをふり、酒をふって蓋をして火にかける。
(6)沸騰してきたら火を弱めて数分蒸し煮にする。取り出して冷まし、粗くほぐす。
(7)ボウルに調味料を混ぜ合わせ、鶏肉と野菜を和える。
 エネルギー149キロカロリー、 塩分1.2グラム 

3. 一句拝見(いでたち1月いろは句会より)  
雪晴れの日光連山車窓より      まさひろ
古寺に歴史を偲ぶ奈良の旅      じゅんのすけ
又一つタワーが聳え寒の入り     こうじ
仕事着に着替えて球根植へおりし  おさむ
おだやかな日和給わり初句会     たけこ

4. 「思いつくままの 走り書き」 (97)
 報告・福祉教育デビュー
中村 斉
 「ストーブはありますが、教室は寒いですから暖かくしておいでください」と担任の石渡先生の心遣いのお言葉に従い、私達は思いきり着こんで豊田小学校の校門をくぐった。
 訪問するクラスは4年1組在籍児童29名。一方栄視障協会員は5名、平均年齢を聞かれるといささかたじろぐものの、個性的で人生経験の豊富な多士済々である。今回が福祉教育デビューということで、いささか緊張気味。控室で児童の代表の「私達は総合の授業の中で、地域の誰もが安心して暮らしていくには現状の何処にどんな問題があるのかを確かめ、問題点をあげ、その問題を解決することを考えました云々。筋道を通して話す内容は4年生の取り組みとは思えないほどにしっかりしている。先生の先導で教室へ向かう。道中「おはようございます」の挨拶が途切れない。
 この日は、先生のご指導で児童が練り上げたプログラムと運営で進められた。目標は「視覚障害者と交流すること」と事前の打ち合わせで知り、講義するのではなく、目が見えなくて困った経験談やエピソード、暮らしの中でどんな工夫をしているかなどを話し、また給食を一緒にいただいたりして、ありのままの視覚障害者に接してもらうことに努めた。教室の移動は誘導の体験の場となった。「君に命をあずけたよ」といって誘導してもらうと、真剣に「歩く速さはどうですか」と訊ねたり、こまかく周囲の状況を説明してくれた。」「誘導の上達もとても早かった。」とは会員の率直な感想である。
 音楽室では児童が「ラ・クンパルシーター」をあざやかに合奏。リクエストに応じて会員のKHさんがピアノの演奏(ベートーベンの悲愴の一部)を披露。児童の目が、Hさんの指先に集まった。「今日の授業をキッカケに、障害者や高齢者のことを知って、やさしい大人になってください。「きょうは本当にありがとうと挨拶する会長の言葉に私達も声を合わせた。全員でバス停まで送ってくれたが、もう自信たっぷりに、しかも注意深く誘導してくれて、集いの成果を見せてくれたようだった。バスに乗るまで握手を繰り返し「また来てください」と張り上げた声は今も耳元で聞こえている。 3.2.2011記す

5.

編集後記

井上 進

 早春。心の華やぐ季節です。枯れ木のようだった木々が赤く色づき、梅、モクレン、桜の開花、そして新緑のころへとつながっていきます。
 この時期、食べたいものがあります。茗荷の新芽の味噌汁、芹のおしたしそれに山うどの酢の物です。茗荷は地面にもみ殻を厚く敷き、その上にちょっと出てきた新芽を採り、刻んだものを具にして味噌汁にします。ほかの具は加ええません。味噌を加え沸騰したらすぐ火を止め、煮すぎないようにします。芹は小川のほとりにへばりつくように自生しているものを摘んで、硬めに茹で、少量の醤油をかけただけで食べます。山うどは里山の日の当らないところに芽を出したものを抜き、生のまま少し厚めの短冊切りにして三杯酢に漬け、あまり長く漬けないようにします。いずれも新鮮な香りを楽しむものです。芹や山うどはスーパーでも売っていますが、肥料で育て背丈の伸びたその味は、野生のものに及びもつかないのです。どれも今となっては、山奥のひなびた宿にでも行けば味わえるかも知れませんが、街中ではまず口にできないのが残念です。


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