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全盲の落語家 

菊地賢三
昨年11月、正式に桂福団治に弟子入りしデビューした関西の落語家桂福点さんは先天性緑内障で、生まれてすぐ右目を失明したそうだ。中二の時に左目の視力が落ちはじめ全盲になったが、盲学校へ入学して、自分よりはるかに厳しい状況の人が多くいることに驚いたそうだ。小さいころから落語を聞いていて、福団治の師匠桂春団治のリズム感のある話にあこがれ、落語と音楽活動をしていた。それ以前には漫画や絵を描いたり、地元で戦争を題材にした講演をやっていたそうだ。この間色々な苦しさを救ってくれたことの一つは、高校時代の先生に、淀川に連れて行ってもらい「人間にも流れがある。よどむ時もきれいに流れる時もあるんや」と言われたことだそうである。いま日本の状況はよくはない。これからも必ず良い時も来るものだ、と自分を励ましている。

2 豚肉のみぞれ合え  畠山工
素材分量2人分、
豚肩ロース薄切り肉200グラム、大根100グラム、もやし100グラム、
ピーマン1個、しょうゆ大さじ1、酒大さじ2、砂糖小さじ半分、
サラダ油大さじ1、塩少々、こしょう少々、ほんだし適量、
(1)豚肉は5センチの幅に切り、大さじ1の酒と塩で下味をつける。
(2)ピーマンは種を取り、タテ細切りにする。
(3)大根はすりおろしてザルに上げ、軽く水気を絞る。
(4)フライパンに大さじ半分の油を熱し、ピーマン、もやしの順に炒め、塩とこしょうで味をつける。
(5)フライパンに残りの油を熱し、豚肉を焼き、炒めたピーマンともやしとともに器に盛り合わせる。
(6)豚肉を炒めたフライパンに、大根おろしと残りの調味料を入れてひと煮立ちさせ、器に盛り合わせた豚肉にかける。
エネルギー292キロカロリー、 塩分1.8グラム 

3 一句拝見(いでたち1月いろは句会より)  
いたち川鴛鴦の日溜りある水辺     まさひろ
水仙の風折れもあり日だまりに     じゅんのすけ
孫までも寡黙となりし蟹を食う     あいこ
若水の一滴墨の香をこぼす       こうじ
遠富士の横に寒月輝けり        おさむ
露座仏と遊んで親しい寒雀       たけこ

「思いつくままの 走り書き」(83) オニはソトお  中村斉
立春を前に初雪です。こいつあ 春から 縁起がイーイワイ。
「早春賦」や春らしい歌がラジオ・テレビから聞こえる季節になりました。
木々の枝の先端にそっと触れると芽がふくらんで、春が兆していることを感じることができます。デイケアの送迎バスの中の話題も「たしか、この坂には白木蓮が咲く」「このお宅の山ぼうしを拝見したのは何月でしたかね」などと花の話題が一杯です。花の姿や色を楽しむことはできませんが、訪れた公園の沈丁花のかおりに癒やされ、ちゅーリップやひなげしの花の小波に感嘆する人々の歓声にはしみじみと平和を喜ぶ心がわいてきます。
 わが家の庭にもちゅーリップが芽を出し福寿草が地を割いて力強い生命力を示しています。弟が贈ってくれた鉢植えのボケも鮮やかな赤い花を今年も咲かせてくれました。
 明日は節分。「鬼は外 福は内ー」と1年1度の大声で家中豆を打つのが50年来のわが家の慣わしです。大きな声を出すのはこの日に限っては日本中公認ですし、いい気分です。(2月2日夜)

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編集後記

井上進

 先日ご近所の方から自宅の庭でできたミカンをいただきました。食べてみると甘いのです。ミカンが甘いのが当たり前と思われるでしょうが、私の経験ではこのあたりで育ったミカンは酸っぱくて甘くならないのです。ミカンは温暖の地で栽培され、昔からその北限は山北とされてきました。それがなぜ横浜でできたのが甘くなったのか。間違いなく温暖化の影響だと思います。ミカン栽培の北限が年々北へずれてきているのでしょう。一方温暖の産地ではミカンの腐りが多くなったというニュースが伝わってきています。冬寒いより暖かい方がいい。しかしそれを喜んでばかりいられない、複雑な気持ちです。
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