1 晴眼者の役目 馬場威力
 先天的であっても、後天的であっても全盲者には出来ないことがある。それは、目の前に居る人の顔色を読めないことである。歳格好や体調などを理解出来ないことである。
 この一年間、私はこの道の先輩の方と一緒に、ある先天的全盲者とお付き合いをしてきた。その方は、私とは異なり感覚が優れていて、特に聴覚ともなると、なんでそんなことが聞こえるのだろう、とわが耳の能力不足を痛感する。
 ところがである。全盲者同士のおしゃべりになると、お互いに相手の顔色が、微妙な表情が読めない。これだけは、いかに優れた耳でも……聞き取れない。読みとれない。
 晴眼者であれば、顔色を伺う、とまで言われているように微妙な顔の表情から、その人の気持ちの変化を読み取る努力をする。もちろん、歳相応の表情の変化や病気などのために変化する顔色なども十分に読み取れる。健康状態もある程度は判断出来る。
 両者の間を取り持つ晴眼者は、守秘義務に注意を払いながら、適宜、顔色をケースバイケース説明するといった難しい役目を負うことになる。

2 きのこと野菜の酢の物 畠山工
 素材分量4人分、
えのきだけ半パック、生しいたけ4枚、きくらげ6枚、
大根4センチ、にんじん3分の1本、さやえんどう8枚、
塩適量、白ごま適量、しょうゆ大さじ1杯半、
みりん大さじ3、酒大さじ2、酢大さじ2、ごま油小さじ1、
(1)えのきだけは、根元を切り落としてから、半分にしてほぐす。しいたけは、軸を切り落として細切りにする。きくらげは、水でもどして固いところを取り、細切りにする。
(2)きのこを鍋に入れ、しょうゆ、酒、みりん大さじ1をまぶし、弱火で蒸し煮にする。しんなりしたら自然に冷ましておく。
(3)さやえんどうは、さっと塩ゆでにし、細切りにする。
(4)大根とにんじんは、皮を剥いて細切りにし、軽く塩もみし、洗って水気をしぼる。
(5)きのこを煮汁ごとボウルに入れ、大根、にんじん、さやえんどうを合わせ、残りの調味料であえる。
(6)器に盛って白ごまをふる。
 エネルギー117キロカロリー、塩分1グラム

3 一句拝見(いでたち2月いろは句会より)  
梅の宮絵馬をかける親子かな      加藤孝二
寒空に孫が指さす飛行機雲        成田真啓
川崎の護摩授かり初大師         斉藤準之助
沖縄はTシャツ羽田は寒晴れに      千葉 宰
大山は雲を重ねし冬菜畑          堀越 愛子
久に逢う彼氏厚きチョツキ着し      中里武子

「思いつくままの走り書き」(74) ヤマモトヤマアーア 中村斉
 春場所は完全復帰した横綱朝青龍と先場所連覇を逸した白鵬の賜杯争奪の戦いが大きな話題であったが、幕内2場所目の巨躯「山本山」の入幕で、中入り直後の取り組みにも拍手や応援の声が入り混じって大いにわいたようだ。私も山本山の勇姿をこの目で見たいのだが、それは叶わないこと。朝青龍の土俵上の悪役ぶり、特に「待ったなし」以後の仕草や険しい表情や鋭い眼光などなら、妻の説明と興奮ぶりで目に浮ぶが「ドンブリ王子」こと、山本山関のイメージはいま一つ掴むことが出来ない。
 3月26日は、栄区視障協の観桜会で根岸の森林公園を訪れた。早朝、小雪も舞う寒さで桜花はほとんどの木で2・3分咲きだったが、膝に乗せたユタンポならびに懐で温めたワンカップ。駅前で買った好みのつまみ、WBCの話題の助けも借りて、それなりに花見気分を味わうことができた。森林公園の中に大きくのびのびと枝を張った桜の巨木があった。根元から二つの幹が大空に伸びているのだが、幹のそれぞれが、大人でもかかえきれない太さだそうだ。これが満開だったら壮観であろう。と声を交わすガイドヘルパーさん達の声に華やかな歌舞伎の舞台装置を重ねてこの公園のシンボル桜のイメージとした。昔見た歌舞伎座の一景の記憶をてがかりにした次第。
 さてさて身長190センチ、体重250s超という山本山関のイメージは、まだつかみえていない。ねがわくは山本山関がファン待望の日本人横綱を狙い朝青龍と対戦する地位まで昇進して、豊富な話題がラジオで聴かれるならば、私の小さな脳に収まる位のイメージは湧いて来るに違いない。ガンバレ!ヤマモトヤマーア。

 編集後記                井上進
 前号でご紹介した「アイマスク体験」に対する疑問について、私もその通りだと思っています。しかし疑似体験が全く必要ないとも思っていません。目が見えないということ、光を失うということがどういうことか一度は実感し、その理解を深めることは必要だと思うからです。目の不自由な方とお付き合いしてみて、その障害を完全に克服して明るい日常を送っている人の多さに私は驚くとともに、畏敬の念さえ抱いています。 
 いでたちトップページへ  目次ページへ
いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。