1  色、形、大きさ 馬場威力
 私たち晴眼者は、毎日数知れない情報を入手する。その大半は目から入るもので、きれいなカラーである。
 そのカラーは、自然にあるものは当然としても、テレビ、本なども最近の技術の進歩のお陰で自然の色と変わらないものを見ることが出来る。
 ところが、視覚障碍者の中でも生まれながらの全盲の人々にとっては、直接には分らない。赤って何だろう。緑って何だろう。黄色って何だろう。黒って何だろう。
また、形についても、大きさについても晴眼者は一つ一つ目で確認し、記憶できる。例えば、リンゴは赤い、丸い、すべすべしている!
 それらの一連の情報を整理し、発展させて地球は丸い、宇宙から見れば青く見えるかもしれないけれど、海あり、山あり、町ありで一つの色ではなく複雑である。形にしても、ごつごつしている。
 これに関連して皆様、11月22日のNHKテレビの放映、「ドキュメント日本の現場:言葉あふれる教室……横浜市立盲学校(小学部)」をご覧になられたことと思う。生まれながらの全盲少女の漢字(形、大きさ)を覚える奮闘記でもあった。

2 ふろふき大根 畠山工
 素材分量2人分、
大根12センチ、鶏ひき肉50グラム、青ねぎ少々、だし昆布3センチ角1枚、
みそ大さじ3、みりん大さじ3、砂糖小さじ1、
(1)大根は皮を厚めに剥き、4等分に切る。
(2)青ねぎは小口切りにする。
(3)鍋に米のとぎ汁と大根を入れ、やわらかくなるまでゆで、表面を洗い流す。
(4)だし昆布を敷いた鍋に、大根とひたひたの湯を入れ、弱火にかけて温める。
(5)ひき肉と調味料をよく混ぜ合わせ、中火にかけて、混ぜながらひき肉に火が通るまで加熱する。
(6)大根を器に盛り、みそたれをかけて青ねぎを散らす。
 エネルギー188カロリー、塩分3グラム

3 一句拝見(いでたち11月いろは句会より)  
爽やかに 手足動かし ヘルパーも      加藤孝二
落ち葉掃く 朝な朝なの 日課かな      成田真啓
金木犀 香をまといつつ 団地みち      宗像 普
時雨時 雨枯葉舞飛び 庭にまで       斉藤準之助
どの木にも ひとつずつあり 小守り柿    中里武子

「思いつくままの走り書き」 (71) −石井英夫君− 中村斉
 「産経抄」を永年書きつづけた菊池寛賞の受賞者、快刀乱麻の名文コラムニストでありつづけた石井英夫氏が勇退され、挨拶状をいただいた。「障害をはねかえす心意気に乾杯」と自筆で言葉をしたためてあった。お互い、にきび面の高校時代の3年間机を並べて草野球に興じた仲ではあるが、いまでは日本のオピニオンリーダーの一方の旗頭である氏の言葉は私への激励でもあり賞讃ともとれるといささかテレてしまった。
 2年ほど前の野球のシーズンオフに、ニッポン放送の夕方の番組に石井君がニュースコメンテーターとして数ヶ月出演したことがあり、私は快哉を叫んだものだった。実は20年以上前のクラス会で、ラジオに出演するように勧めたのだが「オレは吃音だから、ラジオには向かない・・・」と言ったが、私は吃音の方の語りは、説得力を持っていて、聞き入ってしまうことを告げ、いつの日か・・と再考をすすめたものだったからである。その番組の最終日に私が送ったファックスを読んでから、私の障害にもふれ、視覚障害者にとってラジオが如何に重要なメディアかを番組の進行役の松本ひでおアナウンサーに伝え、マイクの向こう側の多くの視覚障害者に応えるようにと強調していたことを思い出した。私の良き理解者であり応援者である。久し振りに日本の福祉を語り合いながら一献傾けたいものだ。(希望への反転の年 平成21年元旦記)

 編集後記                井上進
 目の不自由な人に知識をもたらし、社会参加の道を開いた点字。ことしはその発明者のルイ・ブライユの生誕200年にあたります。日本では明治の中期、石川倉次が「日本点字」に直して普及しました。そしてその後、漢点字や点字の数学・理科記号が工夫、整備され、活用範囲が広がりました。最近音声機器の発達で「点字離れ」が進んでいますが、「点字力」を唱えている人がいます。大阪の国立民族博物館の准教授で全盲の広瀬浩二郎さんです。点字には「したたかな創造力」と「しなやかな発想力」があり、視覚障害者がじっくりものを考えるときに点字に勝るものがないと言っておられます。
 映像や音声機器がいかに発達しても、図書や新聞などの文字による文化が決してなくならないように、視覚障害者にとっての点字が廃れることはないのです。
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いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。