1 お花見会 馬場威力
 桜の花も満開になり、毎年やってきたお花見会を計画した。二組、いずれも視覚障碍者の方々とのもので、何故お花見会か、と言うと、いずれもパソコンが取り持つ縁だ。
 一組の方はお互いの体調を気にしながらも、近々、花より団子のおしゃべり会を大いに期待している。おしゃべりの度に、相互理解は深まり、お互いをよく知ることになる。
 もう一組の方は、その内の一人が長期入院することになって、この春のお花見会は期待できない。一緒に集まる方々へ連絡しながら思ったことがある。
 それは、お互いに歳をとるにしたがって、健康状態も不安定になる。いくら食事に、運動に注意しても、限界がある。それも自分では見落としがちだ。お互いに注意しあうことが必要だ。
 マッサージを習得したような方々は、握手をしただけで、あれ、馬場さん、体調がおかしいんじゃないの、と注意してくださる。ありがたいことだ。

2 鶏手羽中のにんにく焼き 畠山工
 素材分量2人分、
鶏手羽中300グラム、しょうゆ小さじ2、酒小さじ2、レモン半分、
月桂樹の葉2枚、にんにく2片、赤唐辛子2本、
強力粉適量、こしょう少々、ピュアオリーブオイル大さじ2、
(1)鶏手羽中に、しょうゆ、酒、こしょうをまぶしてしばらく置き、強力粉を薄くまぶす。
(2)赤唐辛子は半分に切って種を取り除き、にんにくは細かなみじん切りにする。
(3)フライパンにオリーブオイル、にんにく、赤唐辛子、月桂樹の葉を入れて中火で熱する。
(4)オリーブオイルに充分香りが移ったら、鶏手羽を並べて入れて焼く。カリッとしたら裏返して焼き、両面をカリカリに焼く。
(5)器に盛り、くし型に切ったレモンを添える。
 エネルギー333キロカロリー、塩分1.0グラム

3 一句拝見(いでたち4月いろは句会より)  
花見会持参の酒の味くらべ       加藤孝二
花吹雪掌に山ほど受けてみし     成田真啓
入院へ香りの見舞桜餅         宗像普
いつまでも枇杷の花あり散りもせず  斉藤準之助
花柄の新傘ひらく春の雨        堀越愛子
花筏こわしこわして番鴨         中里武子

思いつくままの走り書き(62) −ご好意− 中村斉
 様々な方に様々な場面でご援助をしていただく。感謝するばかりだ。それでもときには、それは違います。ご支援くださるならこのようにお願いしたいと注文めいたお願いをしたいこともある。
 まだ、自力で白杖歩行をしていた頃のことだ。同じ電車に乗り合わせた中年の女性が私の白杖に気付かれ声を掛けてくださった。話題は福祉や介護のことになり、長い会話になった。というよりその方は介護2級の免許を取得されたことを大変誇りにされていた。かなり豊富な話題をお持ちの方で、福祉についての持論を一方的に聞かされるはめになった。
 鎌倉駅で私もその女性も下車した。出口への階段に向かって歩いていた所、彼女はいきなり私の白杖の先端を握り「ここが点字ブロック」「ここが階段の下り始め」と叩きながら説明を始めた。賢明な読者の方なら、こんな「ご好意」はとんだ「誤行為」だとお気付きのことだろう。白杖のどこにも高性能のTVカメラもセンサーも付いていないし、私達は白杖の先端の石突き(いしづき)で軽く叩いて伝わる振動で足元の状況を把握するので、白杖は自由に動かせる状態でないと具合いが悪いことを説明するべきなのだが、自分の意思に反して彼女の熱心さに、「ありがとうございます」と礼を述べるより他の言葉は思いつかなかった。

 編集後記                井上進
 最近、電車やバスのなかで席を譲られることが増えてきました。それがいやで座席からできるだけ離れた位置にいるのですが、わざわざ立ってきて席を譲ってくれる親切な方もおられます。断るのも失礼なのでお礼を言って座るのですが、下を向いてじっと「居こごちの悪さ」に耐えています。その時間の長いこと。年をとることのつらさの一つです。
 4月からいでたちいろは句会に堀越愛子さんが加入されました。栄区視覚障害者福祉協会所属の港南区にお住まいの方です。良い句をご披露いただけることを期待しています。

いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。