1 空っ風 馬場威力
 私が生まれ育った群馬県、それも赤城山を南東から、また南から眺める地域では、冬ともなると、赤城颪(あかぎおろし)と言われた名物の空っ風が吹き荒れることになる。これは、単なる寒風だけではなく、雪で真っ白に覆われた上越の山々から吹き降ろしてくる強烈なものだった。その強風は、田畑の上を通る間に、砂礫を含むようになり、風に逆らって北西に向かって歩く時などは、その砂礫を含んだ寒風が、もろに顔を直撃することになる。痛かった。
 その寒風のお陰で、喉をやられるせいか群馬県出身の歌手は少ないとか。
が、私の場合は、小中高時代の12年間、この空っ風にはずいぶんと心身ともに鍛えてもらったことになるようだ。特に、田んぼの真ん中にあった中学校、高等学校のときは酷かったものだ。
空っ風 鍛えしわれの 身と心
 現在は、その田畑は宅地になり、また温暖化の影響もあって、昔のような空っ風は吹いては居ない、と言われている。

2 ぶり大根 畠山工
 素材分量4人分、
ぶりのあら80グラム、大根300グラム、焼き豆腐半丁、しょうが2片、
しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2、砂糖大さじ1、ほんだし小さじ半分、
(1)ぶりのアラは熱湯をかけて霜降りし、水洗いする。
(2)大根は大きめの乱切りにし、焼き豆腐は大きめのサイコロに切る。しょうがは1片を薄切りし、残りを針ショウガにする。
(3)鍋にカップ1杯の水と調味料、しょうがの薄切りを入れて煮立て、ぶりと大根を入れて煮る。煮立ったらアクをとり、落とし蓋をして15から20分煮る。
(4)焼き豆腐を加えて、大根がやわらかくなるまで煮る。
(5)器に盛り、針しょうがをちらす。
塩分1.5グラム、エネルギー85キロカロリー

3 一句拝見(いでたち12月いろは句会より)  
不細工な 柚子が並びし 無人店      加藤孝二
冬温し 海辺の浮雲 江ノ島に        成田真啓
句はならず 歳時記めくり 冬篭り      宗像 普
冬の雲 ビルの谷間に 影落とし       斉藤準之助
下りては見 上りては見る 松手入れ    千葉 宰
棚よりの 漏れ日に育つ 実千両       中里武子

「思いつくままの走り書き」 (55) ―名乗る− 中村斉
 世の中 名乗り方もさまざまだ。漱石は猫に「我輩は猫である」と、名乗らせ、エノケンは俺は村中で一番、モボだといわれた男」と、名乗る。
 大江戸線の六本木駅で地上に出ようと、エレベーターに乗ったら「コンニチワNECのエレベーターです」とエレベーターが、女性の声で名乗った。ドスの聴いた声で「シンドラー社のエレベーター」と名乗られたら足がすくむに違いない。
 六本木の交差点を渡り、東京ミッドタウンの新国立美術館を訪れた。昼食をとるのに、此処しかないので、高級フレンチ料理のレストランにはいった。ノンムッシュと言われるとは思いながらも名乗ってみた。「中村と言いますが、目が悪いのでお箸をいただけませんか」ギャルソンはきわめて事務的に「ありませーん」と一言。でも私には言外の(そういう年寄が多くて困るんだなア)の答えが聞こえた。ルーブル美術館ならともかく、日本の国立美術館である。西欧の作品ばかりでなく日本画も書も展示する。食事にも日本の文化を取り入れてこそ、超一流のレストランというものではないだろうか。
 
インフルエンザ                     健康歳時記より
 インフルエンザはウイルスによる急性感染症の1種で、流行性感冒とも言います。普通の感冒と違い、急速な悪寒・発熱・頭痛・筋肉痛などが起こるのが特徴です。時に合併症として、肺炎とインフルエンザ脳症があります。  インフルエンザは主に、くしゃみや咳などによる飛沫感染です。潜伏期間は、1〜2日が通常ですが、最大7日間まであります。潜伏期間中は、病院でインフルエンザ抗原検査をしても陰性にでることがあるので、注意が必要です。感染者が他人へウイルスを伝播させる時期は、発症の前日から症状が軽快して2日後までであることから、症状が軽快してから2日間は通勤や通学は避けた方がよいでしょう。
 インフルエンザウイルスには、A・B・C型の三つの型があり、ヒトのインフルエンザの原因になるのは、主にA型とB型です。人以外にも、近年では、鳥インフルエンザや馬インフルエンザが紙面をにぎわすことがあり、よく知られるようになりました。鳥インフルエンザや馬インフルエンザは、人への感染は無いとされてきましたが、鳥インフルエンザでの感染が疑われる症例もあったようで注意が必要です。

編集後記 井上進
 毎年のことですが元日の早朝、山越え徒歩で鎌倉八幡宮に行きます。約35年続けていて感じるのは、多少の山谷はあるものの、年々暖かくなっているということです。昔は防寒着での重装備が必要でしたが、今は軽装で十分です。岩肌を滴り落ちる水で長いつららができたり、土を高く盛り上げる霜柱など、このあたりでは見られなくなりました。
地球の温暖化を防ぐため、世界的な規模で議論されていますが、それらの努力でそのスピードを多少遅くすることはできても、温暖化の流れはもう止められないのではないか、初詣の道すがらそんな思いを持ちました。

いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。