あまりにも無責任なこと 馬場威力
 最近、頻繁に耳に入る事故には、製作者、管理者、使用者にあまりにも無責任なものが多い。 回転ドアー事故、エレベーター事故、プール事故、シュレッダー事故、東京の大停電事故などなどと、数えればきりがない。私のような高齢者には考えられない、非常識な事故が多発している。それぞれの事故では、設備的には、製作者、管理者がもっともらしい事故原因を考えているようだが、使用者が防げば防げたのではないだろうか。
 先日の、アメリカの旅で経験したのだけれど、スミソニアン美術館や国立公園によれば、そこで募集するボランティアは十分な知識を要求され、また、事前に必ず講習会を受けなければならないことになっている。ボランティアだからと言って、いつでも、誰でも出来ないのが、アメリカのボランティアだった。
 私も、視覚障害者の方、知的障害児の方と行動を共にするような時には、それなりの勉強をしているつもりである。外出の時には、その方たちの命をお預かりしている、と思っている。
  
なすの田舎しょうゆ煮 畠山工
 素材分量2人分、
なす3本、青じそ2枚、サラダ油大さじ2、
しょうゆ大さじ1、酒大さじ1、砂糖大さじ1、
(1)なすはへたを切り落とし、縦半分に切って、皮の方に斜めの切り込みを入れ、長さを半分にする。
(2)青じそは縦半分に切って重ね合わせ、横方向にせん切りにする。
(3)鍋を熱してサラダ油をなじませ、なすを弱火で炒める。しんなりしてきたら、カップ1杯の水と砂糖、酒を加えてふたをし、5分煮る。
(4)しょうゆを加えてさらに5分煮る。器に盛り、青じそをのせる。
エネルギー175キロカロリー、塩分1.2グラム
 
一句拝見(いでたち 8月いろは句会より)  
信号で見送るバスや炎天下     こうじ
妻と来て背中押されて踊の輪    まさひろ
独り居の団扇片手に詰め将棋    ひろし
菩提寺を一人訪ねて施餓鬼かな  じゅんのすけ
高原の限りなき闇天の川       たけこ

「思いつくままの 走り書き」 (26)−本音− 中村斉
 お箸が転げても笑い出す歳ではない。でも、洋食を注文した5人が「お箸をいただきたい」と、ウエイトレスさんにお願いしたので大笑いになった。スパゲッティーでハンバーグステーキでもナイフとフォークより、割り箸を自分でパシッと割って、のびのびと食いたいのが視覚障害者の本音である。裏返せば、外食は串に刺した物か箸かスプーンで食べられるメニューに限られると言うのが正しいのかもしれない。修行すれば良いのだが、なにしろ、生まれも育ちも、お箸の国であります。これをキッカケに、食事の後は本音の話で盛り上がった。「奥さん、電気ついてないけど、居るの」の問い掛けに「主人が帰るまで、あかりは、いりません」のご名答に爆笑。預金口座開設の書類の代筆を認めてもらえず、思い余って「他の銀行にします」と、つぶやいたら、店長さんがあわてて飛んできたという笑いと涙の物語に、同じ体験談がいくつも重なった。Tさん怒りの一句「差別する銀行預金解約す」。

編集後記  井上進
 先日、馬場さんのお誘いで「触る地図でまち歩き」に視覚障害者の方と参加しました。当日は誘導の方も含めて、100人程度の参加者だったでしょうか。関内ホールを起点に横浜の観光スポットを6コースに分けての2時間ほどの散策でした。私は横浜公園から大桟橋を巡るコースを歩きましたが、シティガイドの説明で、新しい発見が数々ありましたし、障害者の方も心から楽しんでおられるようでした。使用した「触る地図」はよくできていましたが、それでも視覚障害者の一人歩きは無理でした。しかし地図があるのとないのでは大違い。主な観光スポットの説明が点字でされていますし、訪ねた後で地図をなぞることでその場所を思い出すことが容易です。そして何回かの訓練によって一人歩きで楽しむことができるようになるのではと思いました。「触る地図」を作成し、このイベントを実施したのは馬場さんの所属する「横浜ジェントルタウン倶楽部」。その努力と行動力に脱帽の一日でした。
 
いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。