情けない世の中 馬場威力
 最近、栄区内の中学校、小学校で視覚障害者とボランティアの生活実態や関係について、生徒、児童の皆さんを相手に、お話をしてきた。子どもさんが人を思う気持ちの一端を理解できて、とても良い勉強になった。
 その場では、もっと、もっと児童と生徒の皆さんに、障害者の皆さんに必要な優しい心、親切な心などの必要性を説明したかった。が、最近連続して発生している痛ましい生徒、児童を巻き込んだ事件は、このようなお話を積極的に、具体的に子供さんに伝えるのを難しくしている。
 ご両親や担当の先生方にしてみれば、安全第一、であることは理解できるものの、納得出来ない矛盾を痛感している毎日である。障害者の方々に、道などを聞かれても、答えないで通り過ぎてしまうのは、あまりにも情けない。一日も早い、まともな社会に戻ることを期待している。
  
生鮭のステーキ 畠山工
 素材分量2人分、
生鮭の切り身2切れ、セロリ5センチ、塩少々、こしょう少々、
しょうゆ小さじ2、バター大さじ2、白ワイン大さじ1、
(1)生鮭に塩とこしょうをふって、1時間位おく。
(2)じゃがいもは割り箸位の太さの棒状に切る。セロリは粗いみじん切りにする。
(3)フライパンにバター大さじ1を熱し、鮭の余分な水分をふき取って焼く。
(4)鮭に火が通ったら、白ワイン、セロリ、しょうゆ小さじ1を加えてからめ、器に盛る。
(5)フライパンをきれいにしてバター大さじ1を熱し、じゃがいもを炒め、しょうゆ小さじ1をふってクレソンと共に器に盛った鮭に添える。
 エネルギー230キロカロリー、塩分2グラム
 
一句拝見(いでたち12月いろは句会より)  
宗像普    煮凝りや夕餉の皿に残すもの
        弁慶の立ち往生の菊人形
馬場威力  パソコンの動きも鈍しこの寒さ
        孫たちのカルタ取りとは見てるのみ
中村斉    冬に入る飛行機雲のぐんと延び
        虚子の碑に語るがごとくにいちょう散る
 
「思いつくままの走り書き」(11) 中村斉
 視障協の仲間で鎌倉の街を巡った。ガイドの北野さんのユーモアを交えた案内で、心に残る一日となった。半月ほど経ってから、Kさんが「この間北野さんにお会いしました。あんまり声が似ていたもので、お名前を呼んだらピンポンだったの」彼女はガイド中ではなかったという。Kさんの声の記憶は確かなものである。
 視覚障害者が生きていくのには、ものに触れたり、匂いを確かめたりするなど、感覚をフル活用しなければならないが、聴覚に頼ることが多い。雨が降り出したことから、瓶の中の液体の残量、声の主の年齢、感情から人柄まで判断することを強いられることさえある。誰かの声を聞いたら、その特徴をつかみ記憶する。それが社会参加への第一歩とも言えそうだ。私も、或ガイドヘルパーさんの初電話で、彼が体の大きな人と直感したので、そうかとたずねたところ「声でわかるのですか」と驚かれたことがある。電話もひと声聞けばどなたかが解るように自分なりに努力している。
編集後記  井上進
 月日のたつのは早いもので、もう年末。「加齢とともに時間のたつのが早く感じるようになる」という説があります。そういえば子どものころの一日はもっともっと長かったような気がします。
 いでたち通信もおかげさまで105号になりました。最近の傾向として馬場さんのご努力もあって、目の不自由な方々からの投稿が増えてきました。有難いことです。畠山さんの創刊以来のレシピは別格として、このところ毎号珠玉のエッセーを頂いている中村さん、それに石上さん、杉山さん、宮城さん、樋浦さんにも貴重な一文を頂きました。来年も皆様の日ごろの思いや、体験、情報などによって、皆さまの交流の広場としての役割を果たしたいと考えています。
 皆さまにとって来年も平和で明るいよい年でありますように。
 
 
 

いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。