音で聞くテレビ 馬場威力
 9月下旬からわが家では、ちょっとした改造工事を行っている。そのため、テレビは見られなくなった。と言って、テレビは大きな情報源だから ラジオで聞くことにした。古いラジオのせいもあって、NHKの総合版しか聞けない。
 これで視覚障害者の大変なことの一端を経験できた、と思っている。それは、テレビとラジオの立場の差から仕方がないのだろうけれど 副音声が聞こえないものだから、ある場面からある場面へと移る場合に何の説明もない。先日放映された、ブラジルへ移民した姉のハルと日本に残された妹のナツの物語を全部聞いたのだけれど、黙っている部分の数秒間は、いくら想像力を発揮しても全然分からなかった。
  
きのこあんかけ豆腐 畠山工
 素材分量2人分、
絹ごし豆腐1丁、まいたけ50グラム、
しめじ50グラム、生しいたけ2枚、
しょうゆ大さじ2、酒大さじ2、
砂糖小さじ1、片栗粉小さじ1、
だし汁適量、ゆずの皮適量
(1)豆腐は1丁を半分に切り、器に入れてラップを掛けて電子レンジで暖める。
しめじとまいたけは石づきを取って小房に分け、生しいたけは軸を取って細切りにする。ゆずの皮は千切りにする。
(2)鍋にカップ半分の水と調味料、きのこを入れてひと煮立ちさせる。
(3)きのこに火が通ったら、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、きのこあんを作る。
(4)暖めた豆腐にきのこあんをかけ、ゆずの千切りを散らす
エネルギー138キロカロリー、塩分2.5グラム
 
一句拝見(いでたち 10月いろは句会より)  
道祖神笑みてお座す風は秋       加藤孝二
秋の風古寺に聞くや波の音       成田真啓
栗の実のはじける谷戸の日和かな   斎藤準之助
墓洗い足腰いたわる翁かな       宗像普
夜長こそ自分史などをまとめんか    馬場威力
鰯雲動かぬままに灯のともり       中村齋
小鳥来る庭にこまごま咲けるもの    中里武子
 
「思いつくままの 走り書き」(8) 中村斎
 居酒屋から出てきた人が、白杖をついて歩いている私に近づいてきた。もうかなりご機嫌のようだ。「ご苦労さん」と私に声を掛ける。軽く会釈して通り過ぎようとすると、私の肩に手を掛け「うらやましいなあ、いいなあ、おとうさん。見えるんでしょ。ひとの心が見えるんでしょ。だって心眼を開くと言うでしょ。」これには参ってしまった。面倒だから私は「まだそこまでいっていません。またお会いしたときにお話ししましょう。」と説明にもならないことを言い、求めに応じて握手して解放してもらった。作り話のようだが、これは私の体験である。ときどき、障害者を超能力者と思い違いをしている人に出会う。
 
 「ある盲学校教師の30年」(岩波新書)の著者鈴木栄助さんは「心眼を開く」とは盲者がさまざまな苦しみに耐えて「心身ともに安定する」ことを言うと説いている。私の心の海の波はいまだに高い。
楽しかった同窓会 杉山スエ
 10月1日に私たちの同窓会四つ葉会の70周年記念行事が行われました。
前半は三宮麻由子さんの講演でしたが、後半はまさに同窓会。初めてではないものの、卒業後50年もたつと、耳にする声、手に感じるぬくもりに昔の姿がよみがえる。懐かしさが一杯になる。それにしても80歳を超えた理事長などの皆様のお元気なこと。その声の若さは昔のままだ。
 その同窓会が一番盛り上がったのは、かくし芸大会で、ハーモニカ、ウクレレ、アコーディオンなどの名演奏ぶり、メゾソプラノやテノールの自慢の歌声の響き、また物まねはプロ並で、それらからもありし日の恩師や旧友の姿を思い出す。最後は私の出番でホーリンチンサイライを昔からの美声で歌い、会場からはやんやの拍手をいただいた。

 注:全盲の杉山さんとのお付き合いは、01年の7月に始めたパソコンクラス、そこで共に汗を流して以来のものである。このメモは杉山さんのお話を馬場が筆記したもので、表現上の責任は馬場にある。(馬場威力)
 
編集後記 菊地賢三
 皆さんこんにちは。私が馬場さまに誘われて、はじめて点字制作に関係したのは、 平成16年7月3日作成の72号からです。あらかじめ集められた原稿を、コンピュータと点字変換ソフトを使い点字に変換し、点字プリンターで必要部数を印刷し、宛名書きした封筒に入れるなどして配送する、というのが一連の編集作業です。点字変換ソフトと点字プリンターにはビックリしました。ソフトには、分かち書き等が相当組み込まれていますし、手で作業したことのない私にとっても、プリンターの印刷速度は驚きでした。それでも、プリンターの音や、全体の作業の3分の2以上が印刷時間であることなどが、やや課題かなと思っております。
 これからも一生懸命やりますので、ご声援をお願いします。
 

いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。