いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。 
難しい日本語 その2 馬場威力
 子どものころ、国語教育の一環として 電報文の作り方があった。句読点も1字に数えられていたから 途中を切らずに書くのが常だったようだ。
 例えば カネオクレタノム は 金送れ頼む で漢字で書けばなんと言うことはない。が これを金お呉れた飲む と読まれて 誤解されたというのだ。
 パソコンでの漢字変換ミスで同音異字の例を紹介する。ピーシートーカーはどのように読むのだろうか。(注参照)
 5季ぶり快勝 と ゴキブリ解消
 正解はお金です と 政界はお金です

 (注)5きぶりかいしょうは、5シーズンぶりに勝ったととも、虫のゴキブリがいなくなったという意味にも取れる。またせいかいはおかねですの、せいかいは正しい答えとも、政治の世界とも解釈できます。
  
鮭と根菜の煮物 畠山工
 素材分量4人分、
生鮭300グラム、大根10センチ、
にんじん1本、小麦粉適量、
サラダ油適量、しょうゆ大さじ3、
みりん大さじ3、酒大さじ3、かつおだし適量、
(1)生鮭は、大き目の一口大に切り、小麦粉をまぶす。
(2)大根とにんじんは皮を剥き、鮭と同じくらいの大きさの乱切りにする。
(3)鍋にサラダ油を熱し、鮭を入れて両面に焼き色がついたころを見計らって取り出す。
(4)鍋を洗い、サラダ油を熱して野菜を入れて炒め、カップ3倍の水と調味料を加えて煮る。煮立ってきたら弱火にし、落としぶたをして煮る。
(5)野菜が柔らかくなってきたら、鮭を加え、煮汁がなくなるまで煮詰める。
 エネルギー210キロカロリー、塩分2グラム。
 
一句拝見(いでたち 9月いろは句会より)  
江ノ島の賑わい薄れ秋近し       加藤孝二
ゴンドラに二本の団扇隅にあり     成田真啓
青茎を分けて見つけし茗荷摘み    斎藤準之助
敬老の集い今年も欠と書き       宗像普
出る出ない議論は尽きぬ敬老会    馬場威力
灯火親し駒を並べて棋譜を読む    中村齋
コスモスのいつ咲くとなく散るとなく   中里武子
 
思いつくままの走り書き(7) 中村斎
 白杖をついて街に出る。白い上に、かなりの長さなので、どなたも気付いてくださると思うのだが、意外と無視されることが多い。まっさらな白杖をついて商店街を歩いていたら、交差している道路から自転車を引いて出てきた人があり、私は白杖の先を自転車の後輪のスポークの中に突っ込んでしまった。細めの折りたたみ式の白杖は何の抵抗もなくぽきりと折れてしまった。自転車を引いた人は何もなかったように立ち去って行った。
 折りたたみ式の白杖は中にゴムひもが通っているので折れた部分がぶらさがっているのだが役には立たない。こんなときには日本点字図書館の用具部などに郵送してその部分を交換してもらうより方法がない。だから私はいつも家に予備として少なくとも1本は用意していた。その日は仕方なく折れたままの杖を使って歩いた。杖の先の石突きが使えないと杖の動きがリズミカルにはいかないので困ったことを記憶している。別の日に溝のふたの穴や歩道のブロックの隙間で折ることもあった。本当は路面を軽くたたくように杖を扱わなければならないのだが、自己流でしかも白杖歩行を始めたばかりのころは何本杖を折っただろうか。私はその後車椅子生活になったので、白杖歩行の訓練を受ける機会を逸してしまったが、白杖歩行をする方はやはり訓練はきちんと受けるべきだと思う。自分の生命を守るために時を惜しんではなるまい。
塩は生命の源 飯島みや子
 料理した時、塩加減はどうかなといいます。塩は私たちの生活に欠かすことは出来ません。山肌をなめている動物の姿を見かけます。あれもやはり塩分のある場所を知っている動物がなめにくるのです。人間だけでなく動物だって塩がなくては生きていけません。
 毎日の食事では味噌、醤油、食品加工品類など。その他一般工業製品、化学工業製品まで幅広く塩を活用しています。例えば石鹸、合成ゴム、塩素、ガラス、紙、プラスチック、重曹、化学薬品、セラミックス、光ファイバーなどは、みな塩が原料です。
 また、人工衛星などのロケット推進用の燃料は、ヒドラジンといって塩を原料とし、苛性曹達や塩素から作られていると聞いています。
 風邪を引けば塩水でうがいする。生きていくためにかけがいのない塩、毎日の暮らしを応援してくれる塩、素晴らしい働き者の塩、生命を維持する上で大切な源です。

  (追記)
 このようなことからから、社会の腐敗を防ぐのに役立つ者のことを「地の塩」ともいいます。非常に重要な塩ですが、あまり塩分が多い食事は、心臓病などの生活習慣病になります。くれぐれも、塩分の取りすぎには注意して、健康な損なわないようにしたいものです。(馬場)
 
小話 石上久子
 20数年も前のことだったが 盲学校小学2年生の教室で イソップ童話に出てくる羊の話に花が咲いた。
 あなた達が お母さんに編んでもらうセーターは 羊の毛でできているのよ と先生。
 男の子 こげ茶色の羊がいるんですか
 女の子 ピンク色の羊がいるんですか
 羊の毛が ピンクの毛糸に仕上がるまでを もっと簡単に しかも子どもたちが分かりやすく納得できるような説明が 出来たのか不安だった先生。ここに羊を連れてきてピンクのセーターを着せてみたらどうかしら との一言で 子どもたちはいかにも楽しげに ケラケラと笑い出した。
 話は現在に戻る。先日ある評論家が言うのに このころのテレビは 物作りでもなんでも あらゆる情報を流す。視覚を通して頭に入る映像は 瞬間的に通り抜けてしまう。
 知識として記憶に残らないから 想像力、判断力、理解力 それらを併せ持って考える能力が育つはずがない。だから人間らしい完全な大人になれない人が多いと。
このような理論が成り立つのだそうです。

  筆者紹介
 この筆者は 徳島の盲学校を退職後 3つもの点訳奉仕会に属し 点訳校正のお手伝いを長年やってこられました。
 最近 このIT化の影響もあって 点訳の仕事もコンピューターに移り 仕事も少なくなってきたこともあって パソコンの操作を勉強始めました。
 メールでの交信を楽しむ一方 ホームページから これからの人生をいかに楽しむかを考える 傘寿を超えて なおお元気な方です。(馬場)
 
7 編集後記 井上進
 いでたち通信は点字版以外に墨字版及びメールで配信、さらに「いでたち」のホームページにも掲載させてもらっています。おかげさまで読者も増えました。また投稿いただく方も増え、101号も前回に続き増ページとなりました。投稿が増えたことはたいへん喜ばしいことと受け止めています。
 せっかくのご投稿に注文をつけるのは心苦しいのですが、可能な限り数多く掲載したいので、できれば300字、長くても400字程度にしていただけたらとねがっています。なお投稿は点字、墨字あるいはEメールでもお受けします。