いでたち通信は点字に翻訳し、視覚障害者に配布されています。
全盲のエッセイスト 馬場 威力(たけお
 三宮麻由子さんは、全盲だから、晴眼者と異なり、色や形はわからない。それでも、聴覚と第六感をフルに使って、「鳥が教えてくれた空(集英社)」とか「目を閉じて心開いて(岩波)」などの、素晴らしいエッセイを書いている。たとえば
 メジロの地鳴きには、チイとチューの二通りがある。たまにチーチューもある。小鳥屋さんは、チイがメスで、チューがオスの声という。
こんな具合だ。私の耳には、このような差は聞こえてこない。
 この素晴らしい聴覚と第六感を使って、俳句も読むのだそうだ。
  
いかときゅうりのしょうゆ炒め 畠山 工(たくみ)
 素材分量4人分、
やりいか2ハイ、むきえび150グラム、
ゆでたこ150グラム、わかめ(もどしたもの)100グラム、
きゅうり2本、レタス2分の1個、
わさび小さじ2、レモンのしぼり汁大さじ1、
酢大さじ1、サラダ油大さじ3、しょうゆ大さじ3、
(1)えびは背ワタがあれば、取り除き、いかは皮をむき胴を輪切りにし、足は食べやすい長さに切り、サッとゆで、冷水にとって、水気をきる。
(2)わかめは一口大に切り、サッと熱湯を通して冷水にとり、水気をきる。
(3)きゅうりは薄切りにし、レタスは手で小さくちぎる。
(4)ゆでた材料とゆでたこと野菜を器に盛り、調味料を混ぜ合わせてドレッシングを作り、食べる直前にかける。

 
人工眼の試作品 完成(8月11日の日経新聞夕刊の記事) 菊地 賢三(けんぞう) 

株式会社ニデックが開発した人工眼は、ビデオカメラを内臓しているめがね、画像を電気信号に変えるコンピューター、眼球に埋め込み電気信号を視神経に伝える装置からなる。この人工眼はまだ、視界に右から入ったか左から入ったかとか、明暗がわかる程度だが、来年には目の前30センチにかざした指の数を認識できるようになる。人工眼の開発は国家プロジェクトであり、奈良や大阪の大学が参加しており、今年から九州の大学も参加する。開発中の人工眼は網膜神経細胞から脳までには異常のない人向けである。緑内障など視神経に障害のある場合は、脳にチップを埋め込んで画像の信号を送る技術が必要であり、アメリカで研究が進んでいる。

 優勝旗が北海道へ       宗像 普(ひろし)
 夏の甲子園が終わった。今まで優勝旗が関東から北に行ったことがないので、今年こそ東北高校が勝って優勝旗を北国に持って行ってくれるのではないかとひそかに期待していることを前号に書いたが、まさかそれが東北地方を飛び越えて津軽海峡を渡るとは夢にも想像していなかった。
 北国は冬の間雪が降って屋外で練習が出来ないので、野球のような屋外スポーツは弱いというのが常識であった。このたび駒大苫小牧高校はこの常識を見事に打ち破った。
 冬の間屋内練習場で徹底して練習をしたことと、ビデオを見て他の学校の野球をよく研究したことがこの勝利に繋がった。
 優勝旗を前に掲げて甲子園球場のグランドを一周するときにこの選手たちの流した涙がどれほど北国の人たちに、やれば出来るという勇気を与えたか知れない。
 全国高校野球の歴史に大きな記録を残したこの苫小牧高校の選手たちに大きな拍手を送りたい。
一句 拝見(いでたち 8月いろは句会より
蝉の穴 二つ三つ四つと 庭の隅    成田 真啓(まさひろ)
遠雷や 妻亡くせり 友の文       宗像 普(ひろし)
高僧の 説法終わるや 蝉しぐれ    加藤 孝二(こうじ)
蒲の穂を ゆする魚や いたち川    斎藤 準之助(じゅんのすけ)
踊りの輪 抜け来て老の 歩となりぬ  中里 武子(たけこ)
見えねども 東に南 花火聞く      馬場 威力(たけお)
編集後記   井上 進(すすむ)

私事で恐縮です。娘が女児を出産し、私の家で1カ月過ごしています。夜泣きがひどく、夜も昼もない育児で娘はノイローゼ気味です。
 そんな娘に私は、二人の子どもを育てた目の見えないSさんに聞いた話を伝えて励ましています。「大変だったでしょう」との私の問いに、Sさんはこう答えたのです。「どうってことないです。犬や猫だって子どもを育てるんですから」と。